社長はシャープ出身 鴻海子会社の狙い 脅威論に対し、日本企業との共存共栄を強調する。
「大きな目的はサムスンに勝つこと。そのために設備や材料で世界的な競争力がある日本のメーカーとひざを突き合わせて、新しい製品を一緒に開発していきたい。ここは、そのための橋頭堡です」
そう語るのは、フォックスコン日本技研の矢野耕三社長。同社はEMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、台湾の鴻海精密工業が5月、日本に設立したディスプレーの研究開発子会社である。
新大阪駅近くの高層ビルの一室にはまだ机といす、電話、ハンガーラック程度しか置かれていない。在籍者も社長と副社長の二人だけ。今後、ディスプレー分野の日本人技術者を中心に40人程度を採用する方針で、横浜にも拠点を設ける計画だ。
シャープで液晶生産技術開発本部長などを務めた矢野社長は、同社の提携先だった台湾・広輝電子(当時)の液晶工場建設にかかわった経験も持つ。2011年にシャープを退職した後、液晶製造装置メーカーの顧問を務めていたところ、鴻海からスカウトされた。
アップルを筆頭に、世界中の電機大手から機器製造を請け負う鴻海。部材を集めて組み立てるだけでなく、キーパーツの自社生産を進めてきた。近年、力を入れているのが液晶などディスプレーの内製化だ。ただ、「鴻海は一つしか液晶パネル工場を持たず、液晶パネル生産子会社のイノラックスも最先端技術は持っていないため、この会社が技術開発の役割を担っていく」(矢野社長)。
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