シャープの株主総会、経営陣に痛烈な批判 「液晶事業は大失敗」、経営不安を問う声相次ぐ

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6月25日に大阪市内で開催されたシャープの株主総会では、株主から経営陣に対し、業績悪化の責任を問う声が相次いだ。

議長を務めた奥田隆司社長は、冒頭で役員に起立を促し、「最終赤字という厳しい業績で、ご期待に沿えず、誠に申し訳ない」と陳謝。続いて次期社長に就任予定の高橋興三副社長が挨拶し、「業容が順調に拡大するにあたり、我が社は創業の精神を忘れ、おごり、高ぶり、チャレンジ精神の低下、顧客志向の欠如と言った、いわゆる大企業病に陥った」と言及。「改めて原点に立ち返り、経営理念、経営信条以外はすべてを変えるつもりで、全力でシャープの再生に取り組んでいく」と決意を述べた。なお、「取締役9人選任の件」など三つの議案はいずれも承認された。

株主との主な質疑応答は以下のとおり。 

「名誉職なら辞めてほしい」

――人事について伺いたい。町田相談役は特別顧問、奥田社長は取締役でない会長になるが、その真意は何か。町田相談役は大阪商工会議所の副会頭で、肩書きがいるということだが、倒産の危機に陥れた責任者だ。名誉のために費用を使うのはおかしい。また奥田氏も取締役でない会長というのは、上場企業では異常だ。名誉職なら辞めてほしい。

高橋 町田の特別顧問、大商の副会頭については、社内でもいろいろ議論がありました。シャープは大阪の企業で、大阪の皆さんに支えていただいています。一刻も早く再生し、成長軌道に乗せ、地域経済に貢献したい、ということで、こういう決断を下しました。

なぜ奥田が取締役でない会長になるのかについては、取締役、役職の数が減っているからです。関西の財界だけでなく、業界、団体に少しでも恩返しをしたい。そのため、奥田が会長という立場でとどまることで、財界活動の多くを引き受けてもらうという意味合いがあります。

――片山会長をはじめ、経営陣は液晶事業で大失敗した。それなのに役員報酬は約3億円と記載されている。われわれの株は配当金がゼロになっただけでなく、元金も減っている。その中で、経営陣はのうのうと報酬をもらっている。これは株主を馬鹿にしている。役員報酬は全額返上してもらいたい。

大西徹夫専務 役員報酬については、すでに70%まで削減しています。役員は役員報酬以外、何も受け取っておりません。それを返上すると、給与がなくなりますので、決められた範囲内で支給させていただきたい。

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