「よい無料」「悪い無料」を見極める6つの視点 「無料」につられがちな人を待ち受けるワナ

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最初の「入り口無料」は、無料体験、無料相談、無料セミナーなどで人を呼び込むものや、当月無料、初年度無料として、入り口の敷居を下げ参加を促すパターンだ。

前者は企業が行うかぎりは、必ず無料としたコスト回収の仕組みができていると考えよう。ウォーターサーバーやコーヒーマシンの無料体験は一度その便利さを体験すると引き続き使いたくなるだろうし、老後資金の貯め方と称する無料相談やセミナーには個人年金保険などの提案がつきものだ。当月や初年度無料の場合は、一度契約を結び、会費の支払いなどが習慣化すると解約が面倒になり、そのまま払い続けることになりがちなため注意。

次の「動機無料」は最も身近な、“おとり”としての無料だ。お店のニューオープンにつき来店者に無料プレゼント、または、お1人様につきドーナツ1個差し上げますなど、それを動機にして人を集めるものだ。お店や施設に出向き、その無料でもらえるものだけをもらって帰るのがしにくいため、追加でなんらかのおカネを払うことになる。

しかし、もし強い気持ちであなたがタダでもらえる物だけを受け取れるなら、それは不要な出費を伴わないので、「よい無料」になりうる。ちなみに筆者は猛暑日の午後に、オープンしたてのカフェの前でアイスクリーム1個をサービスしますというチラシを受け取ったが、やはりそこまでの強い意志は持てなかった。

3つ目の「条件つき無料」は、無料と書いてあっても条件がくっついているものを言う。たとえばショッピングセンターの駐車場で、「買い物したレシート2000円以上で2時間無料」だったり、カードの年会費がかかるところ年1万円以上の購入があれば無料、などだ。送料無料になるまでネットで買い物し続けるのもここに入る。無料にするためにせっせと買い物をするのはコスパが合わないのでは、と立ち止まることが必要だろう。

「よい無料」の3つ

それではよい無料、つまり直接的に金銭を取られる可能性が高くない無料とは何だろうか。以下の3つに大別してみた。

1 公的無料

2 報酬的無料

3 広報的無料 

最も引っ掛けがない無料は、「公的無料」だ。公的なサービスの一環で行われ、そこで儲ける必要がないため、安心できる。

たとえば自治体が地域緑化のため花の苗を配る、緑のカーテン栽培に向いたツル性植物を配る、などだ。苗をもらったあとに用土や鉢や肥料買うことになるかもしれないが、その販促の目的ではない。また、家の耐震診断を無料で行ってくれるという自治体もある。緑化や省エネ化、街の耐震化は公の目的にかなうため、自治体はそれに予算をつけ助成金や補助金を出してくれるのだ。この点、住民サービスの一環の無料は安心して受け取っていい。

次に「報酬的無料」。アンケートに答えた方に記念品を差し上げます、というパターンだ。懸賞やサンプルへの応募もこれに入れてもいいかもしれない。自分の属性情報を先方に渡すことになるため、別の対価を払っているともいえるが、直接的に金銭を払うことにはつながりにくい。

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