なので、仮に時給1000円のアルバイトを朝の9時から夜の21時まで働いたとして1日の収入が1万2000円になります。週休2日で働いて約26万円×12=312万。単純に給与の手取りという面ではみると、差がないことがわかります。
2020年には時給2000円に迫る可能性も
さらにアルバイト・パートの人手不足が加速していくなかで時給が劇的に上昇するのは間違いありません。取材した元コンビニ業界の経営者は「2020年には時給2000円に迫る可能性があります」とコメントしてくれました。さすがに2000円には届かないと思いますが、コンビニ店舗でのオペレーション経験が豊富な人材は派遣会社経由で時給昼間1200円以上、夜間1500円以上で働くことが当たり前になってきています。アルバイト・パートにおける時給も追随して上昇するのは間違いありません。このように短期的にみると、正社員より非正規社員の報酬が上昇する可能性は高く、年収300万円という給与での正社員に魅力を感じる人がそれほどたくさんいるとは思えません。
ただ、目先の収入以外の理由でアルバイト・パートに就業している人の半数以上は正社員になりたいと思っています。
取材したアルバイト歴の長いSさんは「周囲の見る目が変わる。福利厚生の恩恵が受けやすい。さらに退職金がもらえるかも……」と正社員になりたい理由を語ってくれました。
ほかにも取材していくと転職で有利、組合に加入できる可能性が高いなど、収入面だけでないメリットがたくさんあると感じているようです。ただ、メリットよりもデメリットを感じて正社員への転身を望まない人もたくさんいます。
たとえば、正社員になることで地方への転勤がある。アルバイトが欠勤したときのフォローする側にまわる可能性があり、その負担が大変。あるいは正社員だから……と会社の行事や会議などで拘束される時間が大幅に増えることになる、などです。
取材していると、想定していた以上にデメリットを聞くことができました。なかでも正社員への転身で頻繁に聞いたデメリットは「自由な時間を失う」かもしれません。
取材したDさんは飲食業界でアルバイトしていたのですが、店長から「正社員にならないか」と声をかけられて、本社でテストと面接を受験。すると、まもなく正社員合格の連絡を店長から受けました。この会社で正社員に登用されることは希少なケースであったようです。アルバイト仲間は「おめでとう」とお祝いしてくれました。ところが、1年経たないうちに辞表を出して、別の飲食店でアルバイトとして働くことになりました。
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