ディープラーニングは芸術も変え始めている AI(人工知能)の最前線で起きていること

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また、同年、Googleはディープラーニングを用いた画像生成手法として「DRAW」(Deep Recurrent Attentive Writer)を発表している。

DRAWアルゴリズムは、生成モデルとして「VAE」(Variational Auto Encoder)を用い、さらに画像中の各部分に注意を向けながらRNNで反復的に画像を生成するモデルであり、数字の画像を生成することに成功した。更に、2016年には、自然言語で書かれた文に対応した画像を生成する「AlignDRAW」がトロント大学により発表されている。

ぼやけた画像ではあるものの、「A stop sign is flying in blue skies」(停止標識が青空を飛んでいる)、「A toilet seat sits open in the grass field」(芝生のなかに便座が開いている)など、通常存在しない状況に対応した画像も生成可能であることを示した。

また、Googleは「BEGAN」(Boundary Equilibrium Generative Adversarial Network)という生成モデルを用いて、自然な人物の顔画像の生成に成功している(記事冒頭写真)。

筆づかい、色合いをディープラーニングによって学習

Deep Dreamと同時期に、画像や絵をディープラーニングで生成する技術を芸術の分野で応用しようという研究が出始めた。2015年、ドイツのチュービンゲン大学の研究者らによって、「A Neural Algorithm of Artistic Style」と呼ばれるアルゴリズムが開発された。

このアルゴリズムでは、葛飾北斎やゴッホらの画風を特徴量(「スタイル」と呼ばれる)として学習し、任意の画像にスタイルを重ねて出力することで、北斎風やゴッホ風のように変換できるようにしたものである。

2016年には生成モデルの「DCGAN」(Deep Convolutional Generative Adversarial Network)を用いて同様のことが可能であることが示されている(出所:ディープラーニングによる傑作:人工知能の画期的なスタイルを紹介するキャンバスがGTCに登場 )。

また、デルフト工科大学(オランダ)とMicrosoftは、17世紀の画家であるレンブラントの絵画の題材や筆づかい、色合いといった作品が持つ特徴をディープラーニングにより分析して、3Dプリンタによって再現するプロジェクト「The Next Rembrandt」を推進しており、2016年にその成果を公開した(出所:人工知能が描いた「レンブラントの新作」 )。

レンブラントの全作品を3Dスキャンでデジタル化し、オランダのマウリッツハイス美術館とレンブラントハイス美術館の専門家の協力を得て、ディープラーニングによって作品の特徴が分析された。

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