ディープラーニングは芸術も変え始めている

AI(人工知能)の最前線で起きていること

音楽分野への応用も始まっている。

ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)は2016年、AIを使ってリードシート(ポピュラー音楽の歌や、ジャズの曲を楽譜にするときによく使われる、基本的な部分のみを取り出して紙などに書きあらわす記譜法)を登録したデータベースから音楽スタイルを学習し、学習したスタイルを用いて自動的に作曲することを目指すプロジェクト「Flow Machines」を発表した(注:Flow Machines WebsiteによるとFlow Machinesは、欧州研究評議会からの資金提供を受けて開発されている)。

このアルゴリズムを用いて、例えばビートルズ風のスタイルを指定すると、実際に作曲が可能であることを示した(出所:世界初の人工知能が作ったポップソング「Daddy's Car」と「Mr Shadow」がYouTubeで公開中)。

また、プリンストン大学のキム・チソン(Ji-Sung Kim)氏が2016年に開発した「deepjazz」は、2層のLSTMを用いてジャズの楽曲を学習し、ジャズを生成できるようにした。

そのほか、カリフォルニア大学サンディエゴ校のクリス・ドナヒュー(Chris Donahue)氏らが、2017年に任意の音楽を入力するとゲームセンターの音楽ダンスゲームである「ダンスダンスレボリューション」のステップを生成するアルゴリズムである「Dance Dance Convolution」を発表した。

Dance Dance Convolutionでは、入力された音楽の特徴的なタイミング(ステップを踏むべき点)を音楽のスペクトルから学習し、難易度を指定するとLSTMを用いてステップを生成する。

「AI作家」が誕生する日は近い?

また、AIで小説を生成しようという試みとして、公立はこだて未来大学の松原仁氏らによる、ショートショートを創作させることを目指すプロジェクトがある(出所:きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ )。

2016年に行われたショートショート分野の新人賞である第3回星新一賞では、作成時にAIを利用した2作品が一次審査を突破した。現状では、作品作成時におけるAIの利用割合は部分的であり、近い将来に完全にAIでの執筆が可能になることは困難と考えられる。

ただし、その前段階として、人間が小説を執筆する際の支援に利用できるようになる可能性がある(参考:AI、小説の大海原に乗り出す 作家誕生の日はいつ? )。

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