欧州の食堂車、日本の観光列車とは大違い カレーライスが2300円の列車もある
たとえば、イタリアの高速鉄道・フレッチャロッサでは、「ビストロバー」と呼ばれるビュッフェカーで頼むコーヒーは1杯2ユーロ(260円)以下で飲めるが、スイス国鉄(SBB)の車内では4.6~5.4スイスフラン(523~614円)もする。これが食事代となると差はさらに拡大する。
仏TGVの車内バー「バーTGV」では、ホットメニュー・ドリンク・デザートのセットが11.7ユーロ(1520円)だが、スイスではタイ風チキンカレーライスが1品19.99スイスフラン(約2300円)、しかも飲み物は別と、かなり厳しい金額となる。ちなみに近畿日本鉄道の観光特急「しまかぜ」では「松阪牛カレー」の値段は1340円である。
一方、前述のハンガリー国鉄やチェコ国鉄の編成に当たれば、劇的に安い値段で食事が楽しめる。
食事時間を移動に充てるアイデアも
日本の物価感覚からしたら、「カレーライス1皿で2300円は異常」と思うことだろう。ところが、モノの値段が高いスイスや北欧では、そんな食堂車の価格でさえ割安と感じるくらいに全体の物価が高い。
しかし食堂車なら、公共交通機関のレストランだけあって、サービス料の加算はないし、余計なメニューを勧められる心配もない。そのうえ、外国人への対応にも慣れているので、言葉や会計の面などでいらぬストレスを感じずに済むというメリットもある。
欧州鉄道での供食事情を知れば、食事のタイミングを次の街への移動に充てるというアイデアも浮かび上がってくる。特に欧州の場合、本格的なディナーを街場のレストランで食べようとすると、2時間前後かけてゆっくりサーブされ、しかも習慣的な食べ始めの時間は午後8時過ぎと日本人の生活サイクルとは大きく異なるタイムスケジュールを強いられる。そんな時、サービス時間の制約がない食堂車での食事なら、風景をさかなにのんびりとくつろぐことができるだろう。
欧州の国々は陸続きなので、他国の列車が複雑な運用で乗り入れていたりする。たまたま訪問予定がない国の列車に乗ることになったら、ぜひ真っ先に食堂車やビュッフェカーへ向かってみよう。きっと、食べたことがない珍しいメニューに巡り合えるだろう。
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