欧州の食堂車、日本の観光列車とは大違い

カレーライスが2300円の列車もある

温かい食事とともに、冷えたビールやソフトドリンクが車内で楽しめることはうれしい。ビュッフェカーでは立ちながら飲食することになるが、自席に持って帰りたい乗客には、係員が手提げ袋に入れて渡してくれる。自席まで届けてくれることもある。

食堂車のテーブルに転用されたICE3の2等車席(筆者撮影)

一方、レストランカー、つまりいすとテーブルがある食堂車がある編成なら、落ち着いて食事や飲み物が楽しめる。「ICE3」のように、一般的な2等車席に紙製のメニューなどを並べて食堂車に転用するというユニークな運用もあるが、たいていの運行事業者は専用の食堂車車両を使っている。その昔、日本の新幹線編成に連結されていた車両は、食事を楽しむ乗客を邪魔しないように廊下が設けられていたが、欧州の食堂車は車両の幅をフルに使って「お店」が作られているので、別の車両に移っていく途中に食堂車の店内に迷い込むこともある。

「レンジでチン」が主流だが…

より簡単かつ素早く食事を提供するため、食堂車やビュッフェカーで出される料理は、ほぼ完成品のものを電子レンジで温めるだけとなっている。ところが、近年の冷蔵技術のおかげで、列車内でも街場のレストランと負けないような良質なものが提供される。もっとも高速列車の場合、車内の気密性維持のため、換気が必要となる調理ができないという事情もある。

一方、冷暖房完備ながら、窓が開閉可能な編成では、いまだにコンロを使って本格的な調理をする食堂車が現存している。今回の記事執筆に当たり、写真を提供してくれた欧州在住の遠藤さんは、「ハンガリー国鉄(MÁV)が運行するドイツ・ハンブルクとハンガリーの首都・ブダペストをチェコ、スロバキア経由でつなぐハンガリア号は、コンロ炊きの食堂車をつなげたレトロ感のある国際列車」と言う。シェフが丹念に作ったハンガリーの名物メニュー「グヤーシュ(牛肉の煮込み)」のほか、パンケーキのようなデザート「パラチンタ」は、フランベ(ブランデーなど酒を振り掛け、火を付けてアルコール分を燃やす調理法)してから供される本格的なもの、と絶賛する。

車両のスタイルや運営元が国や路線で大きく異なる欧州の鉄道。食堂車や車内販売の価格に、各国間で統一した取り決めなどはなく、それぞれ自由に決めているのが現状だ。したがって、同じ路線を走る列車であっても、運行事業者によって極端に「車内の物価が異なる」という弊害も生まれる。

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