沖縄米軍基地「国内問題」という分厚い壁 海兵隊の運用次第で沖縄に基地は不要だが…
「沖縄の基地問題は日本の国内問題ですよ」。
沖縄県知事や県議会、市民団体は、基地問題の解決を求め、毎年ワシントンへ要請団を送っている。が、米政府や議会関係者から、「あなた方が行くべきは東京だ」と冷たくあしらわれることもある。その厚い壁に何とか一穴を開けようと、シンクタンク「新外交イニシアチブ(ND)」(東京)はワシントンでシンポジウムを開催、沖縄の普天間飛行場問題を解消する政策提言を発表した。
「日本の国内問題」の解釈は、日米安全保障条約に規定される日本の施設提供義務に基づく。米側は提供施設を使っているに過ぎない。その配置は日本の責任であり、沖縄の基地集中も日本が解決すべき問題だ、というスタンスだ。米側は太平洋での軍事態勢を決め、日本へ部隊を派遣しているに過ぎないのである。
辺野古に代わる選択肢を提示
日本政府は沖縄の”地理的優位性”が米軍基地を集中させる理由だとしている。沖縄の訴えは日米間で宙に浮く。北朝鮮が弾道ミサイルや核を持つ時代になった今も、日本政府は「沖縄の地理が軍事に最適。そこに沖縄をつくった創造主を恨みなさい」と言わんばかりだ。沖縄問題に限らず、物事の真偽をチェックする機能が日本に欠落していることは、昨今の政治の混乱を見ていると切に思う。
今回NDは「今こそ辺野古に代わる選択を」と題した政策提言をまとめた。元防衛官僚で官房副長官補を務めた柳沢協二氏、東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏、中京大学の佐道明広教授(国際政治)、そして筆者の4人が3年間の議論でまとめた。この提言をひっさげてワシントンへ赴き、7月12日に現地のシンクタンク「イーストウエストセンター」と共同で、シンポジウムを開催。半田氏と筆者、ND事務局長で弁護士の猿田佐世氏の3人で、辺野古代替案を報告した。
先に提言の意義をアピールすると、沖縄問題をめぐって、安保、軍事論を踏まえた新提案を日本側から提起するのは、初めての試みということだ。今後の議論を深めるベースの一部を提供できた。提言の骨子は以下の通りである。
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