沖縄米軍基地「国内問題」という分厚い壁 海兵隊の運用次第で沖縄に基地は不要だが…

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(1)再編後に残る海兵隊の実戦部隊「第31海兵遠征隊(31MEU)」の全面移転
(2)日米ジョイントMEU for HA/DRを創設 (HA=人道支援、DR=災害救援)
(3)高速輸送船、駐留軍経費の移転先適用
(4)中国軍も含めアジア太平洋諸国のHA/DR連絡調整センターを沖縄に設置

提言の前提は、2012年に日米が見直しで合意した「在日米軍再編計画」によって、在沖米軍の大半を占める海兵隊は、主力部隊がグアムへ移転し、戦闘力は現在の4分の1に縮小されるという、米軍の新配備だ。これに伴い、沖縄を米軍基地に縛り付ける、”地理的優位性””抑止力”という概念は瓦解。だが、安倍晋三首相らは「近年、日本を取り巻く安全保障環境が悪化した」というフレーズで、一連のタカ派的な政策を強引に進めてきた。中国と北朝鮮の不安定要素が高まる中、この見直しによって在沖米軍は大幅削減される。安倍首相らの発言とこの見直しは矛盾するのではないか。つまり、安保体制と平時における部隊配置(軍事態勢)とは、分けて考えられるということだ。

米軍再編で海兵隊の沖縄駐留は不要

米軍再編後に沖縄に残る海兵隊は、司令部と、隊員数約2000人の第31海兵遠征隊という小部隊だけになる。この部隊は長崎県佐世保市に配備されている揚陸艦に乗り、年の半分以上を洋上展開している。すなわち海兵隊の駐留実態は、ほぼなくなるということだ。それでも、この小部隊がMV-22輸送機「オスプレイ」やヘリコプターを使うため、普天間飛行場を名護市辺野古へ移転する、と政府は主張する。

第31海兵遠征隊の沖縄駐留は、実は運用上の絶対条件ではない。同隊を他所へ移せば、辺野古移転は不要となり、沖縄の多くの米軍基地がなくなる。長崎配備の艦艇を使ってアジア太平洋へ遠征しているのだから、配置先は九州のどこだろうと運用には支障がない。

その第31海兵遠征隊は諸国軍との合同演習が主な活動で、米軍のプレゼンスを維持しながら軍事的なネットワークを広げている。合同演習で近年、特に力を入れているのが、人道支援(Humanitarian Assistant)と災害救援(Disaster Relive)だ(頭文字のHA/DRを「ハーダー」と発音)。フィリピンやタイで実施される多国間共同訓練で、中国軍もHA/DR訓練に積極的に参加している事実は、日本であまり知られていない。

NDの提言は、海兵隊と自衛隊でHA/DRを専門とした共同の枠組みを創設し、ソフトパワーの分野でアジア地域における安全保障において積極的に役割を果たすべき、との内容だ。想定される最大の効果は、日本もアジアの安全保障に直接関与し、中国を含めた国際安保ネットワークの構築に貢献できることである。

海兵隊の司令部機能は沖縄に残し、HA/DR調整センターとして、そして平和対話のアジア拠点として、沖縄の地理的優位性を活用する。沖縄は冷戦の残滓である軍事要塞から、平和の結節点として、21世紀的な役割を担うことができる。具体的には第31海兵遠征隊を、沖縄からグアムやオーストラリア、ハワイなどへ移転し、その代替措置として、日本が同隊に高速輸送船と駐留軍の経費の施設整備費を移設先で提供。基地縮小によって駐留軍経費の総額は大幅に削減される。総額1兆円かかる辺野古埋め立ても不要となるのだ。

この提言に対して、ワシントンの安保専門家から上がった懸念は、中国に対する抑止効果が減退するのではないか、というものだった。しかし、それは日米両政府が合意した米軍再編によって、すでに答えが出ている。海兵隊の駐留実態はほぼなくなるので、抑止論は合理的な論点ではない。

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