トヨタ「アクア」大ヒット車が密かに抱く憂鬱 6年目の一部改良モデル、「三代目」と名乗る
ノートe-POWERは、従来のノートと基本的に同じ1200ccエンジンに、電気モーターを組み合わせている。ただしエンジンは走行には使用せず、発電機を回すことに徹しており、前席下に収めたリチウムイオンバッテリーに貯蔵し、この電力で走る。「レンジエクステンダーEV」と呼ばれる電気自動車(EV)のような走行特性など、日産ファンを中心として、新しい顧客も呼び込むヒットとなっている。
ホンダ「フィット」も6月29日にマイナーチェンジを実施しており、商品性を上げてきている。さらに7月12日にはスズキ「スイフト」にハイブリッドシステムが追加された。アクアのマイナーチェンジが目立つ状況にはない。
基本設計が古い
それだけではない、発売から6年が経ったアクアは、燃費性能こそ高いものの、最新の車種に比べて基本設計が古く、安全装備で競合に比べて見劣りしている。
アクアはテレビコマーシャルで自動ブレーキを装備していることをアピールしている。ただ、このシステムは「トヨタセーフティセンスC」と呼ばれるシステム。衝突する危険性を察知した場合には自動ブレーキが作動するものの、検知する対象は前方車などに限られており、上級車向けに採用されている「トヨタセーフティセンスP」のように歩行者は検知できない。実はダイハツ工業の軽自動車「ミライース」に採用されている自動ブレーキ「スマートアシスト」の最新バージョンに劣るスペックとなっている。
ライバルのフィットは今回のマイナーチェンジで「ホンダセンシング」と呼ばれる衝突回避システムを採用、ノートやスイフトも含めてこれら競合車の自動ブレーキは歩行者検知機能を持っている。燃費や走行性能などの基本的な能力は高くとも、先進装備のアップデートが遅れぎみなアクアは、目の肥えた日本のユーザーへの訴求力という点ではライバルに見劣りする部分は否定できない。
レンタカー向けをはじめとする「フリート販売」は販売台数を確保するうえでの頼みの綱の一つとなるかもしれないが、アクアには降雪地帯に欠かせない4WDの設定がないのはちょっと悩ましい。たとえば、北海道は旅行客向けのレンタカー需要が旺盛な地域だが、冬場を考えるとFF(前輪駆動)のみのアクアを積極導入しにくいだろう。
ノートはe-POWERこそFFのみながら、ガソリン車には4WDの設定があり、ここへ来てフリート販売が目立っていると指摘する販売現場の声がある。また、フィットやスイフト、マツダ「デミオ」も4WDの設定がある。
マイナーチェンジをしたばかりのアクアが、2016年の実績を大きく下回る販売目標を設定しているという事実は、4WDがないハンデを映し、フリート販売も含めて競合車種と比べたときの相対的な競争力の低下を意識しているのかもしれない。
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