驚愕実態!対北朝鮮制裁は「ザル状態」だった 平壌には今も多くの日本製品が並んでいる

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平壌の店内で販売されている日本の「ポッカサッポロフード&ビバレッジ」の缶コーヒーをめぐっては、2008年に同地で撮影された製品には、OCNが販売元として記載されていたが、今年撮影された缶コーヒーからはOCNの名前が消えていた。

「ポッカサッポロフード&ビバレッジ」の缶コーヒー。左が2008年撮影、右が今年撮影のもの(写真:NK News提供)

なぜか。OCNは2012年まで、ポッカのシンガポール子会社(PCS)が製造するコーヒー缶製品を販売元として北朝鮮に輸出していたことがわかっている。PCSのアラン・オングCEOはNK Newsの取材に対し、日本が北朝鮮に対する全面禁輸を科した2012年当時、自社製品が北朝鮮に直接輸出されるいかなる取引をやめることを決定、それに伴ってOCNのラベル記載をやめたことを明らかにした。

しかし、OCNの別のフロント企業で、シンガポールに法人登記されている T SPECIALISTは2012年以降、OCNの事業を引き継ぎ、今日までPCSの缶コーヒーを北朝鮮に輸出し続けている。

ポッカ日本本社は把握しているのか?

ポッカ日本本社はこうした北朝鮮との取引を把握しているのか。

ポッカの広報担当者は筆者の取材に対し、「2012年にPCSがOCNとの取引停止を検討した際、ポッカ社がPCSから相談を受け、それによりPCSの商品がOCNを通じて北朝鮮に輸出されていることを認識しました。その後、PCSがOCNとの取引を停止したことも認識しております」と電子メールで回答した。

しかし、PCSとT SPECIALISTの取引については、ポッカ本社は「認識をしておりませんでした」と回答した。

ポッカ日本本社がPCSの売り上げの一部をキャッシュあるいはロイヤルティといった形で得ていたかどうかについて、ポッカの広報担当者は、PCSがブランドオーナーである日本本社にPOKKAブランドの使用料を支払っていることを認めた。しかし、日本本社としてはPCSの商流への関与はしていないと述べた。

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