中野:パワハラもすごいですしね。私に言わせれば、それを率先してやっているのが、まさに50代。バブル世代です。
藤野:パワハラするのは、それをすることによってメリットのある人がいるからでしょう。
現状維持がよいと考え、下を無理やり抑えつける
中野:現状維持がよいと考えている人たちですよね。言うなれば、今の状況における既得権益者が、パワハラによって下を無理やり抑えつけようとしているように思えます。
藤野:パワハラすることによって、自分の力を見せつけているという側面もありそうです。
中野:民間企業は成長し続けるのが大前提で、現状維持なんてありえない。海外企業はそこが明確で、先日、退任させられたゼネラル・エレクトリック社(GE)のジェフ・イメルト前CEOは、安定した事業ポートフォリオを構築してきたのに、新たなキャッシュフローを生み出せなくなったという理由で退任させられたと聞いています。そのくらい海外企業は、成長に対してシビアなわけですが、日本企業にはそこが決定的に欠けています。
藤野:日本企業は、「ピーターの法則」がぴったり当てはまる組織になっているのですよね。どれだけ有能な人も、昇進し続けるといつか能力の限界に達して無能化する、という法則なのですが、その無能化した人たちがずっとそこに留まり、かつ自己保身のためにパワハラを行ったりするものだから、組織が死んでしまうのです。ひとえに労働市場が流動化していないのが、原因ではないでしょうか。
中野:一度手にしたキャリアパスの切符は、定年になるまで有効だと思っている人が大勢います。まさに今の50代なんて、その典型例でしょう。いまに始まったことではありませんが、大体、「部付部長」「担当部長」なんていう職位があること自体、おかしな話です。
渋澤:その部付部長と呼ばれている人って、どのくらいいるの?
中野:大企業になると大勢いますよ。部付部長はポストが不足して、苦し紛れに設けている職位ですが、部下もいませんし、なんだかよくわからない存在ですよね。本当ならいらない役職ですよ。そんなのが、大企業になるとうじゃうじゃいる。ちなみに、私も一時、冷や飯を食わされたとき、戦略本部付部長なんていう部下なし、職責なしの役職を拝命したことがありました。
渋澤:そう考えると、大企業ってまだまだおカネとスペースの無駄があるような気がしますね。
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