売り手市場の今こそ新卒採用を控えるべきだ 大企業は「人手不要」の時代に備えよ

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しかし、「無駄の削減」と「非効率の排除」だけでは会社は決して成長できません。いや、むしろ限りなくシュリンクしていきます。ですから社長は、加えて「新しい事業への挑戦」と「新しい商品への挑戦」に取り組む必要があります。この2つのチャレンジをせず「無駄の削減」と「非効率の排除」だけでは、会社がジリ貧になるのは当たり前です。

無駄や非効率を減らしつつ、一方では「新しい事業」「新しい商品」への取り組み、すなわち「事業の創造」と「異次元の商品開発」への取り組みにも力を入れるべきです。

そのような「次なる挑戦=新しい事業・商品」が「無駄の削減」や「非効率の排除」によって生まれた余剰の人員、社員を吸収することができるのです。「新しい事業」が加わる。それによってリストラの必要はない。ないどころか、さらに人員や社員を増やさなければならないということになります。

つねに「次なる事業カード」を用意せよ

こうした「無駄の削減」と「非効率の排除」と「次なる事業の展開」をすることによって、リストラをする必要はなくなってきます。いわば、渦巻き状に企業が拡大する。そういうことを社長が考えなければならない。いわば、つねに「次なる事業カード」を持っていなければならないということです。そのような「次なるカード」を持っているか。

そういう社長かどうか、そういうことを考える会社であるかどうか。社員は見つめ続けておく必要があるでしょう。もし、そういう社長ではない、そのような会社ではないとはっきりと認識するならば、スキルがあるなら直ちに、なければその会社にいるうちに必要なスキルを身に付けて、身に付けたらいかに大企業であろうとも、スピンアウトして起業するか、自分のスキルを活かせるこれからの時代に合った個人企業に異動したほうがいいと思います。

大企業だから大丈夫という時代ではないのです。繰り返しますが、大企業などもこれからの異次元の時代、非連続的時代に適応できずあっという間に沈没するということが多くなります。出勤したら倒産の張り紙。もうそのようなことが始まっているのです。

これからは「巨艦大砲」の時代ではなくなります。「大きさのメリット」より「小回りのメリット」の時代に移りつつあります。「護衛艦」「駆逐艦」で素早く時代に対応する。適応する。そのような会社が、縦横に「時代の海」を走り回るでしょう。

要は、大企業にしがみつく「寄らば大樹の陰」の時代ではないということを考えれば、誰でもスキルを持ってスピンアウトする。そして、それが日本全体の活性化にもなる。「日本という国はなんとなく元気がある、活気がある」となり、海外からも有能な人たち、研究所、会社が集まってくるのではないかと思います。

若者に限らず中高年の人も、社長が「次なるカード」を持っていない、この会社に将来が感じられないと感ずるならば、やがてリストラをされる前に早々にスピンアウトして、独立なり新たな道を選択されることをお勧めします。

江口 克彦 一般財団法人東アジア情勢研究会理事長、台北駐日経済文化代表処顧問

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えぐち かつひこ / Katsuhiko Eguchi

1940年名古屋市生まれ。愛知県立瑞陵高校、慶應義塾大学法学部政治学科卒。政治学士、経済博士(中央大学)。参議院議員、PHP総合研究所社長、松下電器産業株式会社理事、内閣官房道州制ビジョン懇談会座長など歴任。著書多数。故・松下幸之助氏の直弟子とも側近とも言われている。23年間、ほとんど毎日、毎晩、松下氏と語り合い、直接、指導を受けた松下幸之助思想の伝承者であり、継承者。松下氏の言葉を伝えるだけでなく、その心を伝える講演、著作は定評がある。現在も講演に執筆に精力的に活動。

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