日本株は「割高」「割安」いったいどちらなのか NYダウも「2万ドル突破」には時間を要した
このように強い米国のダウでさえも、2万ドルに挑戦し、抜き、さらに上放れるまでに3カ月を要している。2万ドルはそれほど重みのある2万ドルだった。
では、日本の日経平均2万円はどうか。アベノミクス人気が盛り上がった、前回の2015年の2万円のときを検証して見よう。2015年4月22日の日経平均の引けは前日比224円高の2万0133円となり、2000年のITバブル以来15年ぶりの2万円乗せとなった。
この日の予想PER(株価収益率)は18.16倍で、今よりかなり期待された2万円だったことが分かる。しかし、それでも8月21日の597円安で2万円から下放れるまで、なんと4カ月間のモミ合いを続けた。下放れの理由は、突然の人民元切り下げによる、いわゆるチャイナショックだったが、このときの2万円はPERが物語るように「今よりも期待され、かつ閉塞感が感じられない2万円」だった。
株価は「日経平均2万円は頂上ではない」と語る?
それでも、4カ月間のモミ合いを余儀なくされたのは、日本にとって日経平均2万円は、もうこの先がない山の頂の感じだったのか。相場格言では「株のことは株価に聞け」と言われる。つまり、すべてを織り込んだ株価こそが真実だと言う説だ。そこで株価に聞きたい。「2万円は本当に日本の頂上なのか?」と。
今回、2015年のチャイナショックに匹敵する材料が出ることを、株価は警戒しているのだろうか。例えば、割高になっている米株のクラッシュか、日本国内の政局不安だろうか。だが、クラッシュを防ぐためにFRBは市場との対話を密にした早めの引き締め策で対応しようとしており、日本国内の政権体制も、一部のマスコミが騒ぐほど脆弱ではない。
では、株価を取り巻く需給などの市場環境はどうか。2015年5月29日の裁定買い残は3兆8358億円に積み上がっていたが、今年の7月7日現在では1兆6874億円と、圧迫要因は低下している。”潜在的買いエネルギー”である信用売り残は1兆円に乗せ、個人投資家の現物売買は4月の第1週から全週売り越し(岡三証券調べ)で、待機資金は潤沢だ。
今回、2万円を回復したのが6月2日で、この日の予想PERは14.39倍であり、株価指標には割高感はない。むしろ世界的利上げ気運の中で「1弱的日本」のゼロ金利政策から来る為替環境を考えたら、企業業績の上昇余地はあり、むしろ株価指標は割安感がある。筆者には、株価は、「2万円は日本の頂上(天井)ではない」と言っているように思える。
さて、今週は日欧の金融政策決定会合(日本は19~20日、欧州は20日)があり、それは来週のFOMC(米連邦公開市場委員会、25~26日)に繋がって行く。
「日経平均はモミ合い」と言っても、ときどきある小幅調整の下値が、5月18日(1万9449円)、5月30日(1万9570円)、6月15日(1万9755円)、7月7日(1万9856円)と少しずつ切り上がっている。この「美しい形」が継続できるか、株価が教える目先の答えはここで出る。今週の日経平均予想レンジは1万9850円―2万0400円と予想する。
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