松居さんの暴走は「ネットの欠陥」を露呈した

信憑性を確認できないものが拡散されていく

事の真偽は明らかでなくとも、衆目を集められればカネになる。このことを賢く使えば、西田敏行さんが遭遇したような被害を、特定の著名人に対して意図してもたらすことも可能だろう。

また、たとえ事実無根が明らかだったとしても、そうした情報は面白おかしく衆目を集める情報ではないため拡散力が低く、いつまでも中傷を受け続けることも多い。キクチさんの場合も、犯人が摘発後はおろか、約18年が経過した現在でも彼が誘拐・殺人犯であるという風評は完全に消えていない。

”人のうわさも75日”というが、口づては音として消え去ったとしても、ウェブによる告発の文章は長くウェブ上にとどまり、消しきれず、定着してしまう可能性があるからだ。その消しきれなかった情報を拾い上げ、2次発信、3次発信していく悪意あるアフィリエーターまでは完全に排除できない。

ここまでの甚大な被害ではないが、個人的にしつこい嫌がらせを受けたことがある。

かつて筆者も「被害」に遭った

かつて、ソフトバンクがアンバサダー・マーケティングを展開した際、主にツイッターを通じて多くの発言をしていた「まさとく」というハンドル名の人物をフィーチャーしたことがあった。彼は大の孫正義ファンとして、当時「光の道」などの通信サービスやiPhoneを最重要視した携帯電話事業など、ソフトバンクの中核事業の応援を盛んにしていた。

しかし、ソフトバンクがアンバサダー・マーケティングを徐々に終息させはじめると、われわれのようにテクノロジーに関連した記事やコラムを執筆する人物を攻撃するようになった。被害は小さいものだったが、幅広く多くの関係者が攻撃され、存在しない疑いを投げかけられ続けた。

被害は小さいものだったが、厄介だったのは、”まさとく”がアンバサダー・マーケティングの元に孫正義名義のアカウントと頻繁にやり取りを行い、無視できない程度のフォロワーを持っていたことだった。

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