松居さんの暴走は「ネットの欠陥」を露呈した 信憑性を確認できないものが拡散されていく
このときは、彼自身が発信していた個人情報から連絡先が判明し、唯一の発信源だった彼に行為をやめるよう、彼の家族にお願いをすることで解決したが、情報提供協力やさまざまな偶然が重ならなければ、簡単にやめてもらうことはできなかっただろう。
彼の場合、情報発信の容易さを十分に知ったうえで、違法行為とならない範囲で、ひたすらに迷惑行為を続けていたが、同じような迷惑行為は全国のどこでも行われている。地域社会や学校などを中心とした、大人、子どもすべての人たちのコミュニティが、同様の迷惑行為の温床であり、時にはネットを通じたイジメ問題として顕在化する。
必要なのは「無責任な情報発信を嫌悪する文化」
さて、話を船越・松居夫妻の話題に戻そう。今回の件がこれほど大きな話題になったことで、無責任な情報発信に対する嫌悪感、社会悪としての意識を定着させるきっかけにならないか?という期待を個人的には持っている。
ネットを長く使っていれば無責任な情報発信に対する慣れ、耐性を持っている人も多いことだろう。何を今さら……と思うかもしれない。しかし「ネットでの無責任な情報発信は問題だ」と言ったところで、多くの人にとっては無関係で興味がない話題だ。
では、法整備やプラットフォームサービスを提供する側のルール改善で何らかの対策ができるか?といえば、そこでの線引きは極めて困難だろう。今回はネット社会が広がることによる弊害以上に、われわれが受けている利益もまた、大きなものだからだ。唯一の手段は、周知が進み、ネット社会におけるコンセンサスが得られるようになることだ。
社会の仕組みもネット社会の広がりとともに微調整されていくだろう。しかし、それにも増して効果的なのは、無責任な情報発信に対して世の中に嫌悪感が広がり、それが社会悪として意識が定着していくことだ。
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