「ひふみは日本のマゼランファンドになる」 直販系投資信託トップの藤野英人社長に聞く

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また、注目したいのは、4つのカテゴリー別の成長力だ。

最重要戦略は、成長する小型株に投資すること

ひふみ投信は「4つの投資戦略」を持っており、まずその中核の戦略が、年率2ケタの成長率を持つ成長企業に投資する「成長株投資戦略」だ。

年率15%で成長している社数を、時価総額のカテゴリー別に見ると、先ほどの4)の「時価総額300億円未満」のカテゴリーの中の3分の1程度の651社もある。また、このカテゴリーの22兆円という合計時価総額は、決して小さくないし、ほかの機関投資家がほとんどカバーしていない。もちろん玉石混淆なので、目利きが重要になるが、それだけ投資機会がたくさんあるのも事実だ。

2番目の投資戦略は、「上場ベンチャー株投資戦略」で、IPO(新規株式公開)してから時価総額が100億円に達する前の段階の成長企業に投資するというものだ。この段階での企業に投資して支援する投資家は少ないが、それだけ投資妙味は大きい。

3番目の投資戦略は「自由投資戦略」。これは守りながら増やすための柔軟な運用のことで、「割安株」投資、「景気敏感株」投資、「テーマ株」投資、「堕天使株」投資(一度業績が落ちてダメだと思われている銘柄の再生に投資する)など、多彩な投資戦略を、その時々の投資環境に応じて駆使していく。

そして4番目の投資戦略は「外国株投資戦略」。大型株に投資するに際して、日本の超大企業は成長力という点で魅力に欠けるため、その分を米国や中国、インドなどの外国の大型株に投資して補っていく。今月中にも運用レポートで開示するが、現時点で米国企業にも投資を始めた。

これら4つの投資戦略への資金の割り振りは、成長株投資戦略が60%、上場ベンチャー株投資戦略が20%、自由投資戦略が10%、外国株投資戦略が10%という比率だ。

レオス・キャピタルワークスは、ひふみ投信、ひふみプラスの運用を通じて、米フィデリティのマゼランファンド(1962年スタート、1977年から1990年まで運用にあたったピーター・リンチなどの活躍によって、資産規模は最大で約1100億ドルに達した)のような存在を目指している。

米国の投資信託市場も、現在の成長の背景にはさまざまな紆余曲折があった。それが、マゼランファンドの成長によって、大きくイメージが改善されたという歴史を持つ。われわれも、受益者から「ひふみ投信で運用したから、子供を大学に上げることができた」「家を買うことができた」などと言われる存在になれるよう、さらなる成長を目指したいと考えている。

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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