ハイテク業界が抱える「セクハラ」という闇

20人以上の女性たちが不快な体験を告白

サッカは本紙から連絡を受けたあと、6月29日にブログ記事を投稿し、「私自身がこの問題の一因となっていた」と書き、謝罪した。本紙宛ての文書では、次のようにも述べた。「経験を公表したスーザン(ウー)やほかの勇敢な女性たちに感謝する。彼女たちの勇気により、これまで延び延びになっていた変化が起こることを確信している」。

一方で、不適切な行動に対抗する力には限界があると話す女性も多かった。その大きな理由は、資金や仕事やほかの支援が必要だからだ。

31歳の起業家、サラ・クンストは、2014年に500スタートアップスで働くことを考えていた。その採用プロセスで、創業者で投資家のマクルーアから彼女にフェイスブックでメッセージが送られてきた。その一部にはこう書かれていた。「君を雇うべきなのか、口説くべきなのか、わからなくなった」。

現在はフィットネス関連の企業を運営しているクンストは、マクルーアの誘いを断った。その後、マクルーアの同僚にこのメッセージについて話したところ、500スタートアップスは採用の話を中止したという。

500スタートアップスによると、同社は社内の調査を行い、いまマクルーアは事業運営にはかかわっていないという。マクルーアからはコメントは得られていない。

500スタートアップスは次のように述べた。「テクノロジー業界の女性に対するデイブ(マクルーア)の不適切な行動を認識してから、私たちは社内を変革している。彼は間違いを起こしたことを認め、これまでの容認しがたい行動の修正に取り組むよう、カウンセリングを受けている」。

メッセージが次第にエスカレート

起業家のゲッシェ・ハースは、投資家から性的関係を求められたという(写真:Sasha Maslov/The New York Times)

43歳のウェンディ・デントは、スマートウォッチのアプリ制作会社、シネマースを運営している。彼女が創業準備をしていた2014年に、スタートアップ・アドバイザーのマーク・カンターから送られてくるメッセージは、次第に誘いをかけるようなものになっていったという。カンターは、マクロメディアとして知られるようになるソフトウエア会社を1980年代に創業した人物で、当初はデントに共同創業者を見つける手伝いをすることになっていた。しかし、時間が経つにつれ、彼からのメッセージは性的な色合いのものに変わっていった。

本紙が検証したメッセージには、彼女が「魔法をかける魔女」だと書かれていた。別のメッセージでは、ブルーのドレスを着た彼女がどのように見えたかがコメントされ、「僕が何を考えているかわかる? なぜ、このメッセージをこっそり送っているのでしょう」と続けられていた。

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