米国株の有望業種は消費財、金融もなお注目 マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆氏に聞く(下)
――米国のオバマ大統領はリーマンショック後、米国の輸出産業を振興させるための政策を取ろうとしてきました。今後も米国経済のけん引役は、いわゆる輸出産業になるのでしょうか。
これまではIBMやGE、ボーイングといった重厚長大産業に加えて、アップルのようなイノベーション系の企業が、米国経済のけん引役でした。
今後米国経済を牽引するのは、一般消費財関連と金融
ただ、来年以降は恐らく一般消費財関連の企業が大きく伸びるのではないでしょうか。景気が回復すれば、個人消費は盛り上がっていきますから、一般消費財関連の企業が注目株になります。
また、リーマンショック後、個人消費のスタイルも徐々に変わってきました。リーマンショック前というのは、住宅価格がどんどん値上がりしていく住宅バブルでしたから、人々は値上がりする住宅を担保に借金をして、それで消費を加速させていましたが、それがバブル崩壊によって崩れ去りました。
今、再び盛り上がってきた個人消費は、こうしたバブルの後押しによるものではなく、雇用が回復した結果として盛り上がってきた、腰の入った個人消費の回復です。これが来年以降、米国経済を強く牽引していくことになるでしょう。
――その中でも注目する企業は?
個別銘柄で言えば、いろいろな企業を挙げることができます。アマゾンなどの流通系、アバクロやGAPなどのアパレル、その他にもディズニーやスターバックス、小売りではロードストロームのような百貨店、ベストバイのようなディスカウントショップなどがあります。いずれも個人消費に関連した企業であり、この手の銘柄が大いに買われることになるでしょう。
それと、もうひとつ注目されるのは金融ですね。リーマンショックは、まさに「金融の死」に値する出来事でした。それを米国政府がQE1からQE3までの量的緩和を行って救ったわけですが、ようやく米国景気が回復基調に入り、これまで最悪の状態にあった金融セクターが、徐々に正常化への道を歩み始めています。量的緩和が解除されれば、金利も上向き始めるでしょう。金利が上昇すれば、金融セクターの収益性は向上します。
これまでは、最悪期から回復局面ということで、金融セクターは変化率の高さで注目を集めてきました。さすがに変化率という点では従来のパフォーマンスは望めそうにありませんが、景気回復と金利上昇という好材料があるので、引き続き有望なセクターになるでしょう。当面、米国の株式市場で面白いテーマとしては消費関連と金融で、この2つに関しては注目したいところです。