新興国株投資、「急成長ストーリー」の終焉 今後はバリュー投資が鍵に

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成長と株式リターン

新興国投資について、かつて言われていた高成長と株式市場リターンの関係は、すでに多くの調査研究で相関性が乏しいと指摘されている。

比較的最近ではロンバー・オディエのレポートが、中国について、1993─2005年の間、年15%の成長を続けていたにもかかわらず、株式市場の総リターンはマイナス3.3%だったと指摘している。

ソシエテ・ジェネラルのアナリスト、アルバート・エドワーズ氏は、2008年以前の新興国株の2桁リターンは、高い成長がもたらしたものではなく、途上国が危機から回復し始めた2000年のバリュエーションが低かったからだとし「新興国投資で重要なのはバリュエーション。急成長ストーリーではない」と顧客に説明する。

もちろん成長と価値が相いれないわけではない。企業の成長見通しは価値の一部だ。問題は、しばしば、乗り遅れまいとする新規の市場参加者の過大評価によって、その価値が将来の成長をはるかに上回った場合に深刻化する。1990年代終盤のドットコム・ブームで起こったことは、それだった。新興国ブームも恐らくそうだ。

新興国株はかなり売り込まれた感がある。ソジェンのエドワーズ氏は悲観的なことで知られるが、そのエドワーズ氏にさえ、新興国株にはバリュエーションギャップが生じ「非常にリーズナブル」にみえている。

長らく新興国株について弱気姿勢をとってきたドイツ銀行のアナリスト、ジョン・ポール・スミス氏は、顧客に買い推奨する上で唯一の障害は中国で起こりそうな金融危機だという。「中国ファクターがなければ、長期バリュー投資家にとって新興国株は魅力的と言える」と語った。

バリューの落とし穴

しかし、バリューというコンセプトを直ちに新興国株に適用するのは難しいかもしれない。新興国株というのは比較的新しい分野であるため、バリュエーションや債務などについて長期ヒストリカルデータを得にくいからだ。

また株価が低位にあるのは、利益の低い伸び、コーポレートガバナンスの乏しさ、国の過度な介入など、途上国企業のマイナス要因である問題が理由の場合が多い。

バリュエーションが魅力的で、かつ強固なファンダメンタルズを持つ銘柄を探し出すのは難しいと言える。

パイオニア・インベストメンツのロンバルドCIOは「バリュー戦略は、バリューの落とし穴にはまりさえしなければ、新興国市場投資に良い戦略」とした上で「バリュー一辺倒はリスクが高いかもしれない」とクギを刺した。

(Sujata Rao記者;翻訳 武藤邦子;編集 宮崎亜巳)

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