新興国株投資、「急成長ストーリー」の終焉 今後はバリュー投資が鍵に

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8月18日、2000年のドットコム・バブル崩壊。これを先進国でみられた、ドットコムと付くものには何にでも投資する戦略の崩壊と説明するなら、2013年は新興国投資についてそんな年になるかもしれない。ムンバイのトレーディングルームで5月撮影(2013年 ロイター/Vivek Prakash)

[ロンドン 18日 ロイター] - 2000年のドットコム・バブル崩壊。これを先進国でみられた、ドットコムと付くものには何にでも投資する戦略の崩壊と説明するなら、2013年は新興国投資についてそんな年になるかもしれない。

新興国市場投資家は、将来の成長を期待し、値上がりする資産に投資し続けた。まさに1990年代のドットコムブームの投資家と同じだ。しかし新興国の成長が急減速し株価は急落。成長神話に投資するモデルは失敗したかにみえる。

ここにきて聞かれるのが、今こそバリューに基づく投資にシフトする時という主張だ。ファンダメンタルズに照らして割安な銘柄に投資する。言いかえれば、将来消費が爆発的に増えることを前提に、予想PER(株価収益率)が50倍のインドやロシアの小売り株に投資するのは控えるということだ。

パイオニア・インベストメンツ(ミラノ)のジョルダーノ・ロンバルド最高投資責任者(CIO)はロイターに「新興国ポートフォリオには、バリュー投資の要素を取り入れている」と語った。

同氏によれば「投資家は、ファンダメンタルズの悪化を織り込む必要に迫られつつ、バリュエーション面では魅力が増しているという悩ましい状況に置かれている」。そういう状況下では、バリューの方を軸にし、依然割高と思える株、国の資産への投資は避けるのが戦略的に優れているとの見方を示した。

実際、大半の新興国株は非常に割安になっている。ドイツ銀行のデータによると、新興国のバリュエーションは平均で2009年と比べて25%以上下落。米欧市場はほぼ変わらず。

2007年のピークと比較すると、新興国は50%下落、先進国は28%下落となっている。

過去10年の平均と比較すると、ブラジル、ポーランド、インドは30%割安、韓国は25%割安な水準という。

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