名古屋の私鉄では「特急通勤」が定着している 1カ月間同じ席が使える定期券も

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近鉄名古屋線を走る特急列車(写真:tarousite / PIXTA)

久居駅に停車する特急は、近鉄名古屋方面が朝6時~9時台に毎時1~4本、伊勢中川方面が18時~23時台に毎時1~3本である。近鉄秘書広報部は、「久居駅への特急停車は1979年3月15日のダイヤ変更時から、上下8本の停車で開始した。同駅への特急停車の実現に当たっては、地元からの要望も判断材料の一つになったようだ」と説明する。

現在の特急停車本数は平日上下19本、休日18本へと増加している。同社は「特急の通勤利用者数は定量的に把握していない」とするが、同駅の特急停車が朝夕のみであることから、通勤利用がメインであることは明白である。

特急通勤の県職員に料金支給を

話を8712列車に戻そう。次の津駅では大量の下車と乗車があった。通勤時間帯では、津駅以南相互間の利用が多く見られる。たとえば、同駅が最寄りの三重県庁でも、特急で通勤している職員がいる。

三重県地域連携部交通政策課交通政策班は「通勤のために特別急行列車等を利用することを常例としていること、特急等の利用による短縮時間が30分以上であること、特急等を利用せずに通勤するものとした場合における通勤距離が60km以上または通勤時間が90分以上であること、の条件をすべて満たす場合には、一定額の範囲内で通勤に要する特急料金の1/2に相当する額を支給する場合があるが、これらの条件がハードルとなり、支給申請者はごく少数にとどまっている」としながらも、「実態として、通勤に特急を利用している職員は存在する」と説明する。

他県では、たとえば鳥取県が、通勤距離が40km以上または通勤時間が60分以上で、特急の利用によって通勤時間が20分以上短くなる場合に特急料金の1/2を支給している。鳥取県総務部行財政改革局人事企画課給与室によると、「2016年12月末時点で、133人が米子や倉吉などから特急で通勤し、特急料金の2分の1相当額を受給している」という。

三重県も県職員のマイカー通勤抑制や県職員のQOL(生活の質)向上のため、特急料金支給条件の緩和があってもよいと筆者は考える。

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