初回にお客さまの課題をつかまないと、その後の提案内容も提案先もぶれてしまい、無駄な仕事が生まれます。それが長時間労働にもつながってしまうのだといいます。
顧客の競合他社の株価までチェックする
加えて力を入れているのが、データ収集。「採用は経営と密接につながっています。お客さまの経営課題を理解するうえでも、その企業の財務資料を集め、事業部門ごとの分析を進めます。顧客企業の株価、さらには競合他社の株価までチェックすることも重要です。その際には、社内にあるデータベースを活用しています」。
データを手に入れたあとにモノを言うのが、「仮説力」。先方に質問をする前に、データから読み取れる相手企業の強みやニーズを想像して、あらかじめ仮説を立てます。
「いきなり『御社の課題は何ですか?』と聞いても、なかなか答えてもらえないものです。データから仮説を立て、『この部分を手伝えるのではないか?』と推測し、狙い撃ちしていく。すると、『わかっているね』と信頼につながります」
もっとも、草野さんがもともと「データ分析のプロ」だったわけではありません。その点は上手に人に頼ってきました。「たとえば、金融関係から転職してきた仲間に、財務について『これってどうなの?』と聞いたりします。財務資料を読むうえでは業界ごとに癖があるので、各業界に詳しい社内メンバーにアドバイスをもらうこともあります」。
準備を徹底し、仮説を立てたうえで、1回目のアポで相手にしっかり伝えるべきことがあるといいます。
「こちらが立てた仮説が当たっていれば『うちに任せてください』と、ハッキリ言うことです。会社の看板を背負っている以上、それがプライドを持って働くことだと思っています」
また、この時点で、お客様と自分の役割について会話しておくことも、無駄な時間や労力を使わずに効率的に働くための大切な要素。「最初のアポのときにスケジュール表を持参して『私はここまでやりますので、お客様にはここをお願いします』と、役割分担を明確にするんです。最初の段階で、誰がいつまでに何をやるかを決める。そうすることで、コミュニケーションがスムーズになります」。
営業活動の中で度々の問い合わせを受けると、その対処に追われ、長時間労働につながりますが、草野さんの場合はそれがないので、限られた時間の中で成果を上げられるといいます。
草野さんの働き方のベースには「仕事が好きで、成果を出したい」という熱意があります。リクルートには、「圧倒的当事者意識」という言葉があります。その仕事が、本当に「やりたいことなのか?」を自問し、自分自身の内側から湧き上がってくる気持ちで仕事にあたる、ということです。草野さんも、最初に相手の喜ぶ顔を想像することで仕事の原動力にしてきました。「仕事は趣味でもあり、本当に好き。目の前でありがとうと言われたり、仮説が当たったり、達成したり褒められたり、楽しくてしょうがないんです」。
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