原石を宝石にした、偉大な親たち
バイオリニストの五嶋みどりさんと、龍さんの姉弟の場合は、母親がバイオリニストで、この幼い姉弟の才能を伸ばすべく、周囲の反対を押し切って母親がアメリカに連れて行き、英才教育を受けさせて、国際的な音楽家として成功させました。
世界的な指揮者とバイオリニストを育てた韓国のチョン家の母親は、公務員の夫の退職後も、行く先々で自ら食堂を経営しながら、子供たちをスイスやアメリカへ留学させ、チョン・ミョンファさんをチェリスト、キョンファさんをバイオリニスト、ミョンフンさんを指揮者に育てています。母親の執念ともいえる導きなくして、この姉弟の世界的な成功はありませんでした。
ある慈善演奏会でキョンファさんが演奏したことがありました。この種の演奏に批評を加えないイギリスの新聞が、「かつての名演奏家でも、彼女ほどの演奏をしただろうか」と絶賛。「彼女の師は彼女に1時間100ドル払って教えてもらうべきだ」と書いた記事は語り草になっています。その才能を見いだし、伸ばすべく奮闘した母親は第一功労者です。
盲目の国際的ピアニスト、辻井信行さんのお母さんは音楽の素人ですが、それでもおもちゃのピアノをたたく息子の絶対音感に才能を見いだし、電話帳でピアノの先生を探すことから始めて、今の彼に導きました。
極端な例ばかりですが、子供のいちばん近くにいる母親でも、ないものねだりに間違った方向にリードして子供を潰す親、原石のまま放任する親などさまざまな中、原石から宝石を見いだすに等しい能力を発揮されたこのようなお母様方には頭が下がります。
学生さんたちが「幼児期より関心を持ったことに関してはもっと親が伸ばしてほしかった」と言う要望には、心底、うなずけるものがありました。
子供の親離ればかりが焦点に当たりましたが、言い換えれば、子が親離れして自主的に頑張れる分野を見いだしてあげるのが、親にできる子への最大のプレゼントなのだと思います。子育てとは過保護もいけないが、選択肢を広げず過放任するのも同じく問題だ、とあらためて思いました。
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