今こそ思い知る小林麻央さんが与えた共感 夏目雅子さんのように語り継がれる存在に

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もし麻央さんの病気が寛解していたら、これらは笑い話にしてくれるかもしれませんし、世間の人々も許容できるでしょう。しかし、麻央さんが亡くなったことで、マスコミの強硬な姿勢があらためてクローズアップされています。

それらを見た世間の人々は、ネット上に「今くらい放っておいてあげてほしい」「人の心はないのか」と怒りの声を挙げていました。そして今、再びネット上の反応を見ると、「ベッキーと川谷絵音の不倫騒動や、SMAPの解散騒動は、マスコミも仕事だから仕方ないけど、人の命にかかわるものは絶対にダメ」というムード。なかには、「もしまた誰かが同じ状況になったら、今度は僕たちが守ろう」とマスコミへのバッシングを予告するものも見られました。

今後、「病気ならいいかな」ではなく、事件・事故・災害のケースと同様の報道自粛がなされたとしたら、それは麻央さんの残したものではないでしょうか。

夏目雅子さんと並び闘病中の人を支える存在に

麻央さんはブログを始めた理由として、緩和ケアの先生から「がんの陰に隠れないで」と言われたことを挙げていました。このメッセージは、闘病中の人々を勇気づけただけでなく、病気以外の悩みを抱える人々にも元気を与えています。

もともと日本人は「がんを患った」という事実を隠す傾向が強いのですが、「麻央さんの影響で隠すのをやめて、前向きに生きるためにブログを始めた」という人が多いようです。このように、麻央さんが身をもって実践した「がんの陰に隠れない」生き方は、今後も病気に限らず、悩み深き人々の支えになっていくのではないでしょうか。

最後に挙げておきたいのは、夫との闘病生活と早逝という共通点を持つ夏目雅子さん。夏目さんは1985年に急性骨髄性白血病を発症し、27歳の若さで亡くなりましたが、その後「夏目雅子ひまわり基金」が創設され、骨髄移植の啓発や脱毛患者へのかつら提供などのサポートが行われています。

麻央さんも、「元気になったら、病に対して多くの人の救いになれる存在になりたい」と言っていただけに、夏目さんのように遺志を継ぐ人々が現れるのではないでしょうか。2人は「キャスターと女優」「歌舞伎役者の妻と作家の妻」と異なるところはありますが、麻央さんは夏目さんとともに闘病中の人々を支える存在として、いつまでも語り継がれる存在になるような気がしています。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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