グローバルエリート、「地球の歩き方」に挑戦! サグラダファミリアが完成しない理由と、チベットでの五体投地

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動物愛護家のグローバルエリートは、闘牛にモノ申す!

さて、スペイン旅行もいいことばかりではない。ホテルなどでも治安は悪く、私も充電中のブラックベリーを盗まれてえらいことになってしまった(何回携帯を盗まれたら気が済むんだ、という気もするが……)。また見どころの多いスペイン旅行だが、闘牛だけは残酷すぎて直視していられない。マタドールと牛が1対1で戦うならまだしも、実際は大勢のマタドールで寄ってたかって牛をメッタ刺しにしている。

複数のマタドールが一頭の牛をメッタ刺しにしている

そして悲惨なことにその血まみれの死体が競技場を一周、馬に引きずりまわされ、砂に血の跡ができる。血まみれの牛の死体を見ながら綺麗な若い女性を含む観客が音楽に合わせてハンカチを振り回しながら声援を送っていて、このノリはついていけへんわ、と内心悲しく思った次第である。

バルセロナでは闘牛が禁止された。伝統文化かなにかしらないが、ぜひ動物愛護の精神でマドリッドや他の都市でも闘牛を再考してほしい。どこの国の文化も残虐性と表裏一体なのであり、たとえばイルカ漁や捕鯨、食用の犬やサルの脳みそなど、どんな国にも一部の人は固有文化の一部として正当化する人がいるものだが、動物を殺すときはせめて食用に限り、苦痛なく迅速に、感謝しながら命をいただく(いただきます、というのはここに語源があるらしい)ようにしてほしいものである。

フラメンコとアルハンブラ宮殿のはかない美しさ

私はこれまで、親愛なる読者の皆様をおいしいスペイン料理やサグラダファミリア、そして闘牛の旅にいざなってきた。しかし最後に忘れてならないのは私が大学時代に4年間も頑張ってしまった、フラメンコ鑑賞である。アンダルシアに列車で移動すればそこはフラメンコの聖地。心地よくも激しいサパテアードのリズムに乗って、かつてジプシーと呼ばれた皆さんが楽曲に込めた愛憎と悲哀があなたのハートを激しく揺さぶるだろう。

とてつもない声量を誇るカンテ(歌い手)。なお日本人はフラメンコをしている人が多く、アンダルシアのフラメンコショーも日本人観光客が大勢いた

バルセロナとマドリッドとアンダルシアのフラメンコを楽しんだら、最後はグラナダに足を運んでアルハンブラ宮殿の幻想的な美しさを堪能しよう。

このイベリア半島は実に15世紀までイスラムが支配しており、イベリア半島最後のイスラム王朝の悲哀に満ちた落日の日々がさまざまな絵画に残されており、イスラムとキリスト教圏の歴史的背景がいかに根深いものかに思いを馳せることができるだろう。

一つの国の栄華の陰に、もう一つの国の滅亡

スペインの文化は美しく華麗な文化の中に、フラメンコに代表される(北西インドから迫害されながら移動してきた)移民や、滅ぼされたイスラム教徒の王国の悲哀が随所随所に混在している。

アルハンブラ宮殿落城の日の最後の模様がさまざまな絵画や壁画に残されていて、物悲しい気持ちになるが、ほかにも陽の沈まぬ帝国を建設すべく、レコンキスタ(これもスペインから見た視点の用語だが)を達成したイザベラ女王のお墓も見られるので、ぜひ世界史の勉強もなさってみられるとよいだろう。

アルハンブラの陥落とイザベラ女王の栄光を考えると、どこかの国の栄光の歴史は、どこかの国の悲哀の歴史と表裏一体なのを思い起こさせる。

グローバルエリートが撮影したアルハンブラ宮殿。美しさの中にもはかなさと哀しさが漂う

さすがは見どころ盛りだくさんのスペイン、夏なり秋の旅行先として強くお勧めさせていただきたいが、話が長くなってしまったのでそろそろ次の旅行先の発表に移らせていただきたい。お待ちかね、グローバルエリート選定世界旅行ランキング、次にお出ましいただくのは……チベット おめでとう!!

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