グローバルエリート、「地球の歩き方」に挑戦! サグラダファミリアが完成しない理由と、チベットでの五体投地

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ラサのジョカン寺で、五体投地を体験

ラサにつくと標高の高さから透き通った空気と強烈な日照、そして透き通った青い空があなたを迎えてくれる。ジョカン寺の前では今も大勢のチベット族の皆さんが五体投地で祈りをささげており、道端には非常にかわいい子供たちが母親と一緒に物乞いをしている。

ジョカン寺前で五体投地をする、グローバルエリート

ジョカン寺の中に入るとヤクの油でつくったろうそくが独特の香りを放っており、チベットの皆さんがくるくる回る宗教的な杖を持ちながら街中を練り歩いていて、一時はモンゴルや清朝の国教でもあった世界的に影響力の強いチベット仏教の深遠で豊かな文化空間が街中に広がっている。

それにしても驚くほど皆熱心に祈っていて、これだけ宗教が日常生活の中心にある場所は、私が訪れた中ではインドのヴァラナシとチベットくらいである。なお信心深いチベットの方は遠方より一年とかかけて聖地まで五体投地する方が今でもおられ、如何に神様が日常生活で重要な位置を占めているかわかる。

チベットの美しい文化

日本でいちばん有名なチベットの方はダライラマ法王なわけだが、法王の写真は一切目にすることができなかったが、お土産屋さんの明るい笑顔のお姉さんにこっそり聞いてみたら財布の中から取り出して私に見せてくれた。そして公言はできないが、皆家の中にダライラマ法王の写真を隠し持っていると。私は根性を出してヒマラヤベースキャンプまで行ったのだが、ラサから離れた僻地でも各地で中国軍のジープが警戒に当たっており、またポタラ宮のてっぺんには中国旗がたなびいている。

私はこの美しい誇り高いチベット文化が守られること、またそれを中国を含む世界の人々が強く支援してくれるのを祈るのみである。なおチベットのラサは中国人に大人気で、私の中国人の友人もチベットが美しく、最高にきれいな場所だ、とチベット好きの人が多い。彼らがチベット文化の保護と発展に貢献のため、中国国内から動いてくれる日が来るのを信じたい。外国が外部から批判するより(大抵チベットのため、というより中国憎し、で批判しているケースが多いので何の助けにもなっていない)、中国の中にいる人たちが自主的に動く方が、結果的にチベットの固有文化が守られるであろう。

チベット仏教の教義は今にも活きる哲学的な教訓が多く、関連本をお読みになるといかに精神性の高い高度な文化か感嘆することも多く、人類全体にとってもかけがいのない文化であることが分かる。

このチベット仏教は古来より世界中に大きな文化的影響を与えており、かのモンゴル大帝国でも国教としてチベット仏教が取り入れられたほどである。ただ考えてみるに、こんなに平和極まりないチベット仏教を受け入れて、世界中を征服したフビライハーンってナニモノ、という気もするのだが、とにかくチベットの美しい文化、人類に潤いを齎す豊かな文化が、次の世代の人類にも受け継がれることを願ってやまない。

ヒマラヤベースキャンプで万歳する、グローバルエリート

※ 次回のアジア編に続く

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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