原油価格が需給改善でも低迷している「謎」 金と原油の相関関係から見ると今は安すぎ

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FRBが当面利上げに動きそうもないのは、米国のインフレが市場の想定よりも高まらないことが背景にある。米国のCPI前年比はWTI原油の前年比の動向とほぼ連動しており、相関係数は0.79と高い水準にある。

原油価格の低迷はいつまで続くのか

本欄でも何度か解説したように、CPIが高まらないのは、原油安が直接的な要因であり、5月のCPIが低下するのは必然であったといえる。

その原油相場だが、14日の市場ではWTI原油がガソリン在庫の予想外の増加を受けて急落し、節目の1バレル=45ドルを割り込んだ。米国ではガソリン需要期に入っており、この時期にガソリン在庫が増加し、原油価格が下落するのはきわめて珍しい。ガソリン需要は堅調に推移しており、過去5年平均との比較では4.2%多い水準で推移している。今後も需要が堅調に推移することでガソリン在庫が例年のように減少すれば、原油相場もいずれ反転に転じるだろう。

上記のように、FRBは2018年以降の金利見通しを据え置いているが、現在のように原油価格の低迷が続くようだと、積極的な利上げを行う理由はなくなってしまう。原油価格はOPEC(石油輸出国機構)加盟・非加盟国の2018年3月までの減産延長にも関わらず、米国のシェールオイルの増産観測を背景に反発の兆しが見えない。石油需要の増加と減産効果がシェールオイルの増産を上回ることから、需給バランスは確実に改善するはずなのだが、市場はこれを織り込んでいない。シェールオイル業者もこの価格では採算がとれているとはいえず、現状の価格水準が続くとは考えにくく、今後上昇に転じれば、FRBの金利見通しが正当化され、インフレ率も徐々に上向くことになると考えられる。現在のFRBのインフレ見通しは比較的強気だが、将来の原油価格の回復を見通しているのであれば、十分に正当化されるべきであろう。

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