3年後の「大学入試英語」激変にはこう備えろ とりあえずどこから始めればいいのか
藤岡:私はいま、フィリピン・セブ島で英会話学校を経営していますが、日本人の生徒さんたちから「読めるけど、話せない、書けない」という悩みをしょっちゅう聞きます。つまり、中学、高校、そして大学と、英語学習にかなりの時間を費やした割に、実際のコミュニケーションツールになっていないのです。
安河内:それがまさに、日本の英語教育が抱える大きな課題でした。これまでの日本の英語教育の特徴は、「受信型」。英語の文章を読み、それを翻訳することに重きが置かれ、そのために必要な文法や単語、イディオムなどを学ぶ、というものでした。
この方法は決して間違っていたわけではないと思います。事実、こうした力を鍛えたおかげで、英語で書かれたあらゆる分野の世界中の文献を日本語に翻訳することができ、その結果、日本の科学技術は大いに発展したのですからね。翻訳重視の英語教育が果たした業績は、すばらしいものだと私は考えています。
「発信する力」だけでもダメ
藤岡:ただ、いまの日本で求められる英語力は異なる……と。
安河内:そうなんです。インターネットの時代となり、ボーダーレスに情報が飛び交う時代です。またグローバル化でかつてないほど世界が身近になっています。
こうした時代においては、これまで同様受信する力は必要ですが、同時に「発信する力」をつけていくことも重要です。この両方をバランスよく鍛えていくことで、世界のさまざまな情報を受信し、それを自分の頭で考え、組み合わせ、そこから新しいアイデアを構築し、それを世界の人々に向けて話したり、書いたりして発信していくことができますからね。
藤岡:最近、日本では、英語で発信する力を強化することばかりが強調され、受信する力が軽んじられている風潮がありますが、やはりこれまでと同じくそこは怠ってはいけないわけですね。
安河内:そうです。実際、受信する力と発信する力を同時に鍛えていったほうが、相互に波及効果を及ぼし、両方とも伸びますからね。どちらか一方だけを重点的にやるよりも、はるかに効率的に英語を使いこなせるようになります。
藤岡:それは、私も身をもって体験しました。40歳で英語の勉強を始めたとき、とにかく会話ができるようになりたかったので、マンツーマンレッスンを受けたのですが、まったく会話にならず、単語やフレーズ、例文のインプットの必要性を痛感したのです。