「オレは話聞いてないぞ!オジサン」の処方箋 まともに相手をしていたら時間がなくなる!

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私の場合、話聞いてないおじさん向けの対応策をいくつか講じています。
代表的な対策は以下の3つです。

話聞いてないオジサン対策

(1)説明会や情報提供を徹底的に実施して、「聞いてないほうがおかしい」という状態にする

地域での新規事業の際には、あまりに聞いてないオジサン対策として、「ここまで機会をつくっているのに聞いてないほうがおかしい」という状況をつくることがあげられます。

過去には、1年間、毎月複数回、ひたすら各商店会長や町会長らといった会長クラスを集めて勉強会を開催したことがあります。ときには平日・土日で日中と夜に一気に説明会を開催したこともありました。個別対応よりはよっぽど楽ですし、何より、関心を持った多くの人が説明会などに参加してくれますし、結果として協力者も増加するという「よい副産物」もあります。

(2)「話を聞く場」と、「事業の意思決定の場」を分ける

とはいえ「人の意見を聞かない(聞く耳を持たない)」というだけで、なんとなく人間としてダメみたいな風潮は、いまだに強く残っています。そのため、私は「協議会的な組織」を立ち上げて、そこに地域のさまざまな人に入ってもらい、定期的に事業報告などを行ったりします。年次報告書を出したりする場合もあります。

しかしながら、それはあくまで協議組織。事業会社側はちゃんとリスクを負って、事業に取り組む少数の関係者で立ち上げ、経営します。「意見は聞くけど、採用するかどうかは経営判断」というスタンスが、いちばん事業をスムーズに動かします。

(3) 勝てば官軍。成果を急いで、手柄を渡せ!

まぁ何をやっても、聞いてないという人は減らないです。いちばんの対策はこれかもしれません。急いで小さくとも成果を生み出し、その手柄を「聞いてないオジサン」におすそ分けするのです。大抵の場合は、うまくいき始めると「オレも最初からあれはうまくいくと思ってた」「オレが最初に支援してやった」といったようなオジサンはたくさん出てきます。

つまり、話聞いてないオジサンにあまり気をもむ必要はないのです。事業を軌道にのせて官軍となれば、あとはどうにかなることばかりです。そのときに話聞いてないといっていたオジサンに、「いや〜◯◯さんのおかげですよ」という話をして、マスコミ取材などの一部をその人にもしてもらうように段取りをつければ、「私は今後とも応援していきます」とかコメントして協力者になってくれることが多くあります。

あまり初期の段階で「聞いてないオジサン」と対立し、論破でもしようものならば、さらに溝が深まります。最初は効率的な説明会や意思決定では関与しないように程よく付き合い、早急に事業の成果を生み出し、その手柄を分ける、それがいちばんの処方箋です。実は手柄なんて一銭にもなりませんので、あげられるものはあげてしまうのがいちばんです。

木下 斉 まちビジネス事業家

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きのした ひとし / Hitoshi Kinoshita

1982年生まれ。高校在学時からまちづくり事業に取り組み、2000年に全国商店街による共同出資会社を設立、同年「IT革命」で新語流行語大賞を受賞。

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。

2008年に設立した熊本城東マネジメント株式会社をはじめ全国各地のまちづくり会社役員を兼務し、2009年には全国各地の事業型まちづくり組織の連携と政策提言を行うために一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンスを設立。2015年から都市経営プロフェッショナルスクールを設立し、既に550名を超える卒業生を輩出。2020年には北海道の新時代に向けた「えぞ財団」を仲間と共に発足している。また内閣府地域活性化伝道師等の政府アドバイザーも務める。

著書に『まちづくり幻想』『稼ぐまちが地方を変える』『凡人のための地域再生入門』『地方創生大全』等多数。

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