出光、株主総会で創業家vs.経営側の対立再び 創業家は合併潰しへ5名の首を狙う
「体質・社風が異なる昭和シェル石油との経営統合によって、これまで守り続けてきた出光興産の理念を維持することができなくなる」
「経営陣は31.3%ものプレミアムを上乗せして昭和シェル株を取得しており、そのような費用を投じた人間は、一般的に、その費用がもったいないと思い、途中で断念できなくなる」
「このように無理に経営統合を進めることにつき、現主要経営陣には責任回避という私的な利益があることから、出光と利益相反がある」
創業家側が代理人の鶴間弁護士の名で販売店経営者に今年の株主総会を前にして送った文書には、なぜ経営統合に反対するのかがとうとうと説明されている。そして社内取締役4名の選任に反対する理由として、「経営統合を主導してきた現主要経営陣には、その誤った経営判断についての責任をとっていただく必要がある」などと述べている。
主要経営陣として「戦犯」扱いされているのが、月岡社長のほか、関大輔副社長、丹生谷晋取締役経営企画部長、本間潔執行役員の4名だ。そのうち、月岡社長・関副社長・丹生谷取締役が先頭に立って昭シェルとの合併を進めてきたのは事実。また社外取締役として新任される予定の橘川武郎・東京理科大学教授は業界の再編論者として知られ、創業家側が警戒心を持つことも理解できる。
不可解な本間氏への反対
不可解なのは本間氏の選任に関する反対だ。「本間氏は経営統合にはノータッチ」。出光社内からはそういった声が上がる。
本間氏は国際需給部を統括する執行役員から取締役への昇格が予定される。需給部が原油調達や製油所での生産計画などを担う重要な部署であることは間違いないが、執行役員という現在の本間氏の肩書を考えると直ちに「合併で中心的な役割を担ってきた」との説明と整合するとは思えない。
なぜ本間氏なのか。創業家の代理人を務める鶴間弁護士は、東洋経済の質問に対し、「海外担当および国内の需給担当として、問題のある施策を行ってきたと考えております」と答える。
具体的には、本間氏が中心になって進める価格建て政策が高値になりがちで消費者本位の理念に反する、と創業家は見ており、その点を問題視しているようだ。
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