出光家が今になって合併反対を主張するワケ 株主総会で代理人の浜田卓二郎氏が反対の弁

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出光興産と昭和シェル石油の合併に、創業家の出光家が「反対」。両社は無事、2017年4月に一緒になれるのか(撮影:尾形文繁)

「(昭和シェル石油との)合併計画を白紙撤回するお考えがあるかお聞かせください」──。

6月28日、グランドハイアット東京(港区)で開かれた、出光興産の定時株主総会。開始から約1時間後、質疑応答で指名された出光昭介氏(88)の代理人が問い詰めると、壇上に並ぶ経営陣の表情はこわばった。昭介氏は出光興産の創業者・出光佐三氏の長男で、1981~1993年に第5代社長を務めた人物だ。上場に反対した2001年に名誉会長に退き、経営の第一線から距離を置いていた。

今になって創業家が反対表明をした理由は二つある。

一つは、大家族主義を社是に掲げてきた出光と、七つもの労働組合がある昭和シェルは水と油の企業体質であり、合併に多大な労力がかかること。もう一つは、1953年の日章丸事件以来、イランと親密な関係を持つ出光が、サウジアラビア国営石油の資本が入る昭和シェルと合併することは、両国の対立が深まる中、不適当だと認識していることだ。創業家側は取締役10人の再任に反対し、合併計画へ「NO」を突き付けた。

3分の1強、拒否権を握る出光家

昭介氏の子息二人も含めた創業家一族は、出光家の資産管理会社である日章興産をはじめ、出光文化福祉財団、出光美術館などで、合計33.92%の議決権を握っていることを主張している。

出光にとって、9月末までに計画される英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルの持つ昭和シェル株の取得には、株主の同意を得る必要はない。だがその後、2017年4月予定の昭和シェルとの合併に至るには、年内に実施する臨時株主総会の特別決議で、3分の2以上の賛成票が不可欠だ。3分の1の拒否権を握る創業家が反対すれば、合併計画が頓挫する事態になりかねない。

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