出光と昭和シェル、「対等統合」へのハードル 2強入りはするが、すんなりいくのか

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特約店の反発も、今回の統合では一つのハードルになった(左:尾形文繁、右:梅谷秀司)

大型再編がついに動きだした。売上高で石油元売り2位の出光興産は、同5位の昭和シェル石油の株33.3%分(議決権ベース)を、35%保有する英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから取得することを決めた。

独占禁止法上の審査に1年ほどかかるため、株式取得は2016年上期になる見通し。両社はその後、速やかに経営統合を行う方針だ。

特約店が反発し暗礁に

出光と昭和シェルの統合交渉は1年ほど前から水面下で続けられてきた。しかし2014年末、「出光が昭和シェルを買収する」という一部報道が出たことによって、暗礁に乗り上げた。「出光にのみ込まれれば、統廃合に追い込まれるかもしれない」と、昭和シェル側の大手特約店が猛反発したからだ。

今年3月に香藤繁常氏から昭和シェルグループCEO(最高経営責任者)の座を引き継いだ亀岡剛氏は、「出光の子会社になることはない、と全国の特約店へ説得に回った」(ある昭和シェルの特約店)。7月30日の記者会見で、「対等な精神での統合」を両社が再三強調したのも、こうした背景があったからにほかならない。

出光・昭和シェル連合が誕生すれば、石油製品の販売シェアは3割弱と、JXホールディングスに次ぐ規模へ拡大。国内の石油業界では、2強体制が確立されることになる。

経営統合で得られるのは、規模のメリットだけではない。出光は、業界内でも生産効率が随一と評される昭和シェルの精製設備を手にすることで、下流の収益力が増す。

昭和シェル側は、外資であるロイヤル・ダッチ・シェルが筆頭株主から外れることで、長年“縛り”となっていた海外への事業展開が可能になる。低燃費車の普及などで、ガソリンをはじめとした燃料油の国内販売量は、1999年のピークから約3割減少しており、海外展開を進めなければ、今後生き残りは難しい。

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