マニラ首都圏鉄道で日本が信頼される理由 アジア最悪の渋滞は解消されるのか

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この地下鉄建設は6月末で就任1年となるドゥテルテ大統領の目玉政策だ。インフラ整備3カ年計画(2018~2020年)を柱とする経済政策「ドゥテルテノミクス」では、マニラ地下鉄がその目玉に位置付けられている。

マニラ地下鉄を現地はどのように評価しているのだろうか。

満員状態のLRT2号線の車内(筆者撮影)

現地の交通計画専門家は「交通渋滞に伴う経済損失は1日あたり24億ペソ(約55億円)と言われている。マニラ首都圏の人口は1200万人を超え、自動車の販売台数も伸びている。1990年代に日本が交通マスタープランを提案したのに、財政難や用地買収の難しさもあって手が打てないまま、交通事情が極端に悪化してしまった」と指摘する。

マニラの地元記者は「交通渋滞は市民生活の最大の悩みであり、地下鉄計画への関心は高い。遅れていた首都圏の交通インフラ整備が進めば、国際競争力が高まり、海外からの投資促進や雇用拡大につながる。そのため経済界も期待している」と話す。通勤線など都市鉄道が整備されれば、交通渋滞や大気汚染の軽減につながる。

日本は現行の鉄道にも貢献している

日本の支援は、これまでもフィリピンの鉄道に貢献してきた。マニラ市街を南北に貫く国有の公共交通機関であるLRT(軽量高架鉄道)1号線がベルギーの支援で開業したのは1985年のこと。その後、乗客数の急増、車両や線路の老朽化を受けて、増強が必要になった。

そこで貢献したのが、日本の円借款。円借款による1号線増強事業が1994年から進められるとともに、1996年には同じく円借款で東西方向の2号線建設が始まった。こちらは2004年に開業している。LRT1号線は約20キロメートル・20駅、2号線は約14キロメートル・11駅で運行している。

レトロなLRT1号線のベルギー製車両(筆者撮影)

この2つの路線のほかにも、三菱重工と住友商事が建設した1999年開業のMRT(マニラ・メトロレール、約17キロメートル・13駅)がある。この3路線合計で1日130万人超(2014年調査)の通勤・通学客の足だ。

以前、筆者は平日午前中、LRT2号線から1号線に乗り継いでみた。ほぼ満員ではあったものの冷房が効いており快適だった。2号線は近畿車輛(株)のプレートが貼られたピカピカの車両が走っており、1号線にはレトロでかわいいベルギー製車両が走っていた。LRTは移動時間が計算できるうえ、運賃15~25ペソ(約35~57円)程度と手頃なので、朝夕のラッシュ時は駅構内に乗客があふれるという。

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