シンガポールで日本製「新交通」が人気のワケ 三菱重工のシステムが空港や市内交通に
日本では「新交通システム」と呼ばれることが多いAGT(オートメーテッド・ガイドウェー・トランジット)。昨年9月に公開した記事(「鉄道の『自動運転』は車よりずっと進んでいる」)で、北米では米ウエスチングハウスの技術を受け継いだカナダのボンバルディア、欧州ではフランスのマトラの遺産を継承したドイツのシーメンスが主役であること、わが国では三菱重工業が最近積極的に取り組んでいることも記した。
鉄道業界のビッグ3はボンバルディア、シーメンスとフランスのアルストムという欧米勢に独占されているが、AGTではその一角に日本企業が食い込みつつある。
では、三菱重工のAGTの海外展開はどのようになっているのか。同社製のAGTが空港内交通機関をはじめ、市内交通にも展開しているシンガポールに向かい、現地の担当者に話を聞いた。
三菱製の新交通システムが活躍
シンガポールはシンガポール島を中心とする島国であり、ひとつの都市がそのまま国になった都市国家でもある。総面積は東京23区と同程度しかない。日本から訪れた人の多くが最初に足を踏み入れるチャンギ国際空港は、シンガポール島の東端に位置する。
アジアのハブ空港のひとつであるチャンギ国際空港は映画館やプールなどアミューズメント施設も豊富であり、昨年も英国の航空調査会社スカイトラックスが行う「ワールド・エアポート・アワード」で第1位に輝いた。現在3つのターミナルがあり、4つ目のターミナルが建設中だ。
これらのターミナルを結ぶ空港内交通「スカイトレイン」に、三菱のAGT車両「クリスタルムーバー」が起用されている。かつてはボンバルディア製車両が走っていたが、2002年に三菱が受注を獲得。2006年から順次クリスタルムーバーに置き換えられている。
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