ゴルフ界の雄「テーラーメイド」の不安な将来 アディダスがついに売却、再成長できるのか

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マキロイとの契約で、世界ランキングベスト3の1位ダスティン・ジョンソン、2位ローリー・マキロイ、3位ジェイソン・デイの全員がテーラーメイドのゴルフ用具を使う契約選手となる。なお、4位の松山英樹は住友ゴム工業傘下のダンロップスポーツと契約している。

テーラーメイドのマーケティングや販売の戦略は明快だ。トッププロが自社商品を使って活躍することで、その商品のよさを一般ゴルファーに訴求するというものである。

有名選手と契約する戦略は、今も有効なのか

この手法は、ゴルフ用品では王道であり、ブランド強化や販売促進に長く使われてきた。「あのプロが使っているものと同じものを使いたい」「同じものを使えば、もっと飛ばせるのでは」と、ゴルファーの購買意欲を喚起するものである。

テーラーメイドが新たにマキロイと契約したことからは、今後もこの手法を継続する意志が読み取れる。有名選手と軒並み契約を結び、他社を凌駕するゴルフブランドを確立しようとしているのだろう。しかし、これまで同じ手法でビジネスを推し進めてきた結果が、今回の売却劇となったのだ。先述したようにクラブなどの用具性能の進歩は、ルール規制によって限界になっている。

そして、この手法のいちばんのネックは、トップ選手との契約金が高額になることである。テーラーメイドのように契約を結ぶ選手を増やせば、なおさらだ。

先述の世界トップ3に加えて、今年のマスターズ覇者であるセルヒオ・ガルシア、そして今年1月にはタイガー・ウッズといったビッグネームとも契約している。そのほかの契約選手も含めると、少なく見積もっても年間0.5億~1億ドル(55億~110億円)はかかるであろう。経費がこれだけかかると、当然、利益も出にくくなる。

世界的に見てもゴルフ市場の成長性が乏しいといわれる中、新しい親会社は今までと同じ販促方法を許すのだろうか。テーラーメイドの進む道は、先行きに閉塞感の漂うゴルフ用具メーカー各社にとって、格好の「他山の石」となるはずだ。

嶋崎 平人 ゴルフライター

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しまさき ひらと / Hirato Shimasaki

1976年ブリヂストン入社。1993年からブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、ライターのほか多方面からゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

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