実際、年間のGDP成長率が7%を切ってくると、中国の国内景気の失速感が表面化しかねないといわれる(いまはすでに5%を割っているともいわれる)。それゆえ、中国は、地方分権化を進めながら、地方人民政府間のGDP競争を煽り、経済成長率の安定維持に努めてきたのだ。中国の経済運営の難しさは、常に経済成長シナリオを実現しているように見せないと、民衆の不満が爆発して、共産党政権を揺るがしかねない不安定さにある。
昨年と一昨年の尖閣問題から発生した反日デモの際にも、学生の不満は日本に向っているように見えたが、実際には共産党の一党独裁の反対へのシュプレヒコールに向かったために、公安と軍隊を投入して、デモ隊の解散を命じたのは記憶に新しい。
従って、嘘でも良いから「今日より明日が良くなる」とのとの幻想を抱かせるためなら中央政府は何でもやってきたのだ。
地方政府に経済運営の権限を委譲させながら地方の省の間でのGDP競争をさせることは、自動的に発展スピードが期待できると考えた。これまで沿岸地域と比べて発展の遅れていた省の経済成長が実現し、自動的に経済格差も縮まるから、好都合に見えた。
ところが、地方は信用不安があるため、中央の金融機関からは表立って資金の提供ができないことが表面化した。そのために、仕方なく闇の金融(シャドーバンキング)システムを引き続き、容認せざるを得なくなったのである。
次回は、すでに市況が変調をきたしはじめ、取り返しがつかなくなりつつある、レアアース市場の破たんについて、報告したい。
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