日本を「熱狂なきファシズム」が覆っている

映画作家・想田和弘が考える日本の今

「特に大きなメディアが腰抜けすぎる」と語る想田和弘氏から見える「今」の日本の姿とは?(写真:岡村隆広)
アメリカで活躍する映画作家・想田和弘。台本やナレーション、BGM等を排し、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱、実践してきた。
ツイッターのフォロワーは5万人を超え、「#菅官房長官語」が大きな話題に。
ドキュメンタリー映画『選挙』『精神』『牡蠣工場』などが海外で評価される想田に、日本の“今”はどのように見えているのだろうか?

低温ヤケドのようにじわじわと進む全体主義

『GALAC7月号』(6月6日発売)の特集は、「特集:決定!第54回ギャラクシー賞/共謀罪とメディア」です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

──「観察映画」の手法で社会を見つめている想田さんから見て、今の日本はどう思いますか?

日本は今、非常によくない状況に進んでいます。低温ヤケドのようにじわじわと全体主義が進んでいる。僕に言わせれば「熱狂なきファシズム」。なのにメディアがそれを本気で止めようとはしないことが問題です。特に大きなメディアが腰抜けすぎる。小さいメディアには抵抗しているところもありますが、新聞もテレビも、一番の歯止めとして頑張らなければならないところがその仕事をしていない。

さらに深刻なのは、これでいいんだと思っている人が実は多いのではないか、という点です。安倍政権があれだけ非民主的な政治をしても支持率が下がらないのをみると、「民主主義、表現の自由、権力の監視など必要ない」というコンセンサスが、実はメディア内でも一般人の間でも形成されているのでは?という気がしてなりません。それが根本の問題です。

次ページ利点も大きいけれど弊害が大きすぎる
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 精神医療を問う
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由
ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
SDGsが迫る企業変革<br>ビジネスと人権

サプライチェーンの中で起きる人権侵害への意識が高まっています。欧米では法制化が着実に進展し、企業に対し人権リスクの把握と対策を求める動きが顕著に。欧米に比べて出遅れている日本企業の現状を多角的に検証します。

東洋経済education×ICT