それでも、素材や品質にこだわったハンバーガーの代表格である「Shake Shack(シェイクシャック)」の店先は、相変わらず列が途絶えない人気ぶりだ。ハンバーガーは日本人サイズと小さめながらも、シャックバーガー(シングル5.55ドル)とポテト(2.99ドル)に税金込み計で9.30ドル。しかし、食欲旺盛な若者なら3個ぐらい食べてしまうだろうし、そうなると結構な出費だ。ちなみに、シャックバーガーの定価は一昨年5.19ドル、昨年は5.29ドルだったので、今年はなんと5%弱の値上げだ。
日本でも、人件費や原材料の高騰を価格に転嫁する動きが外食関連に出ている。全国CPI(消費者物価指数)統計でハンバーガーの項目を見ると、一昨年4月分で前年比プラス2.9%、昨年で同プラス8.1%とかなり上昇した。だが、今年4月は横ばいと上昇が一服している。
現在、東京で同じシャックバーガーを買うと680円。ビッグマック指数のように、日米で比較した購買力(簡便法)は680/5.55=122.52。足元でドル円は111円程度で推移しているので、為替水準はシャック指数に比べて円高と見ることができる。ただし、質と満足度合いを考慮した購買力平価(生活感覚)を考えると、1ドル=90~100円程度が妥当だろう。
その一方で、米国のブランド製品を見ると、1ドル=80円時代に買い物をした日本人にとっては、どれも割高に感じてしまうものだ。他方、ニューヨークは観光客が多い街だが、心なしか欧州系(ドイツ語やフランス語を話す人)が少なく感じられた。現地のエコノミストにその印象を話すと、やはりユーロ安の影響で欧州からの観光客は減っているとのこと。人とおカネの流れの変化は、経済を物語る。
規制緩和をどの程度できるかが問題
今回の米国出張で、一番の収穫だと感じたのは、ワシントンの常識を教えてもらったことだ。特にトランプ政権の政策運営が読みがたいと思っていたが、実際にワシントンの雰囲気に触れ、人事と予算は誰でも時間がかかること、それでも規制緩和に向けた作業は進められていることを確認し、霧が晴れた。
ワシントンの省庁には、550人程度の上級幹部ポストがある。大統領就任から100日で上院の承認を得た人数は、オバマ前大統領の69人に対してトランプ大統領は30人。ただし歴代でも30~40人台の場合はあった。ブッシュ(子)元大統領のときが35人、クリントン元大統領は49人。トランプ氏が特別遅いわけでは実はない。半分決まって、やっと組織が機能する状態といえようが、8割以上決まるのに通常、1年程度かかるものだ。
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