港区より足立区に出店したほうが儲かる理由 立地戦略の敵は現実とずれた「イメージ」だ
一方で、飲食チェーンなどであまり人気がないのが、足立区です。「足立区にはあまり出店したくない」という声を何度も聞いたことがありますが、その理由は大抵、「あまり高価なものを扱っても売れなさそうだから」でした。その根拠としては、先ほどの平均年収ランキングで、足立区は最下位の324万円だからです。
繁盛する店が多い理由は「人口が多い」
ところが、実際に足立区に出店すると、単価の高いものやサービスを扱っていても、繁盛する店が多い。それは、足立区は「人口が多い」からにほかなりません。足立区は23区内で人口5位、約68万人です。飲食チェーンに人気のある港区の人口の2.8倍も多く、そもそもの母数が大きいわけですから、売り上げが多くなるのも納得できます。
年収だけで判断したら、足立区に出店は考えないかもしれません。ですが、平均年収300万円台の区は、23区のうちおよそ半分の12区に上ります。足立区だけが突出して低いというわけではないのです。流行の最先端を行くような高級レストランを出店するなら、ブランディングからしても港区がいいでしょうが、富裕層が住む場所でないと儲からない店でもないかぎり、先入観にとらわれるのは禁物です。
基本的には、目先の平均年収にとらわれて港区に出店するよりも、人口の多い足立区に出店したほうが儲かる可能性は高い。これは間違いありません。
出店時に重視すべきは、何よりもまず人口です。いくら平均年収が高くても、もともとの人口が少なければ、来店する人数は限られます。業態による面もありますが、絶対的に人口の多いところに狙いを定めて出店先を考えていくべきなのです。単価の高いサービスやものを提供する経営者さんが気にされがちな「お金持ち」というのも、全国各地にいるものです。
立地戦略を考えるうえで、最大の敵は「イメージ」といっても過言ではありません。私たちは知らず知らずのうちに、土地名や路線名、駅名について、さまざまなイメージを抱いているものです。しかし、そのイメージをもって路上に立ちウォッチングしてみたり、あるいはデータに照らし合わせてみたりすると、イメージと現実が異なることは往々にして起こります。実際に店舗をどこに構えようか検討中の方は、くれぐれも注意していただきたいところです。
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