長銀の旧経営陣に無罪 「粉飾」はなかったのか

長銀の旧経営陣に無罪 「粉飾」はなかったのか

日本長期信用銀行の決算処理をめぐる証券取引法・商法違反事件で、最高裁第2小法廷は大野木克信元頭取ら旧経営陣3人に対し逆転無罪判決を言い渡した。

長銀は1998年10月に一時国有化。その直前の98年3月期決算において、関連ノンバンク向け融資の償却・引当処理が過小だったとして、翌年6月に刑事事件化した。公的資金投入の見返りに関与者責任を追及する「国策捜査」の走りともされた。

が、「3人はスケープゴート」との声は当時から根強かった。放漫融資を行ったバブル期の経営陣こそ責任を問われるべきとの同情論だ。やり玉に挙がったのは長年君臨した杉浦敏介元会長だったが、時効の壁は厚かった。

最高裁は商法の「公正ナル会計慣行」の基礎となる諸ルールの変遷を重視。その結果、損金計上が限定的にしか認められない「税法基準」に従った不良債権処理でも当時は適法だったとした。金融検査マニュアルや税効果会計の導入は99年以降で、当時は「時価会計」への過渡期だった。

ただ、検事出身の裁判官は補足意見で「企業会計の開示制度の観点から見れば、大きな問題があった」と指摘。当時の長銀は綱渡りの資金繰りを強いられる末期状態。にもかかわらず、旧経営陣は緩い会計ルールに寄りかかり、償却・引当を体力の範囲内に意図的にとどめ、信用維持のため無謀な配当までした。刑事罰に問われるほどでないにしろ、それは投資家から見れば、やはり“粉飾行為”だ。

(高橋篤史 =週刊東洋経済)

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