自己流の仕事にこだわる人は結果を出せない 防衛大で学んだ最短で効果を上げる時間術

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不必要なものを次から次へと「引き算」して時間をつくる方法もあります。防衛大生には髪型の自由はありません。みんな「角刈り」です。しかも、もみ上げの位置は耳の穴より上でなければなりません。学生たちは、大学敷地内にある「汐入理髪店」という床屋で角刈りにするのですが、この床屋の回転率の高さは異常です。その理由は防衛大生には、「角刈りしか選択できるメニューがない」から。

すなわち、他の髪型にするという選択を捨てているからです。捨てる、つまり「断捨離」をすることで時間をつくり出すことができます。日々の仕事で何を捨てればよいかというと、まず、「納期遅延のリスクになるもの」です。あらゆる仕事には「納期」があります。「納期厳守」は絶対です。それを邪魔するものは、排除しなければなりません。それによって、アウトプットの質も確保することができます。断捨離すべきは次の2つです。

(1)「行動」の断捨離→マイナスの行動を捨てる
(2)「感情」の断捨離→マイナスの感情を捨てる

生産性のない行動を排除する

「行動」の断捨離とは、生産性のない行動を排除していくことです。だらだらと行われるムダな打ち合わせ、同僚から当日に誘われる飲み会、タバコを吸う時間やネガティブな人と話す時間などが、これにあたるでしょう。

「感情」の断捨離とは、仕事をするうえで足を引っ張る感情を排除していくことです。よくわからないけど漠然とした「不安」、人付き合いにおける「悩み」、ぎゅうぎゅうの朝の満員電車に「うんざりする(やる気がなくなる)」など、マイナスな感情があればあるほど、前向きな行動を起こすことができません。

防衛大1学年には「模倣実践」という標語があります。防衛大生活の右も左もわからない1学年は、まずは上級生の行動、発言、思考などを徹底的にマネするように指導されます。

その理由は、幹部自衛官の卵として自分たちより多くの教育を受けている上級生のマネをすることが、何もわかっていない人間を教育して一人前にする最短の方法だからです。

この教育方法を象徴するのが「対番制度」です。入校したばかりの1学年1名につき「対番」と呼ばれる上級生が1名、教育係としてつきます。会社でいう「OJT(On the Job Training)担当者」のようなものです。

「対番」は入校してきた1学年が困らないように「対番ノート」と呼ばれる手作りの「防衛大生活マニュアル」を用意します。

そこには、防衛大のタイムスケジュールに始まり、防衛大生活を送るにあたっての心構え、防衛大のルールといったものだけでなく、実際に「対番」が1学年時に経験して気づいたことや、指導された内容などがみっちりと書かれています。

1学年は「対番ノート」を受け取り、熟読します。そして、そこに書かれていることをまずは徹底的にマネします。「対番ノート」とおりに行ってうまくいかなかったことは改善内容として「対番ノート」に追記していきます。

「対番」のつくったマニュアルに自分の経験を盛り込んでいくのです。

対番ノートに書かれている内容をそのままやってみる
うまくいかないときは改善する
改善した内容をまたやってみる
それでもうまくいかなければまた改善する
(うまくいくまで改善を繰り返す)
うまくいった内容をノートに書き込みノウハウとして溜めていく
次ページこのサイクルを高速で回し、後輩にも伝える
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