北陸新幹線はなぜ「南回り」で大阪を目指すか 新駅予定地地元も驚き、財界も盛り上がらず

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では、京都―松井山手―新大阪間の約50kmで、どのようなルートを通るのか。3月の国土交通省の調査報告で示されたイメージ図を基に考えてみよう。

京都駅西側で東海道新幹線と交差する国道1号(堀川通)。他のJR線との連絡を考えると駅南側の八条通の地下にホームを造りたいところだ(筆者撮影)

京都駅ホームは地下駅と想定された。新幹線が市内を南北に貫くことを考えると、JR駅西側の国道1号(堀川通と油小路通)の地下が適地だが、中央口改札より500mほど離れているので他のJR線との乗り換えは不便になる。東海道新幹線との乗り換えがしやすいのは駅南側の八条通だが、駅の前後がカーブの多い線形になって工費もかさみそうだ。

京都―新大阪間ルートのイメージ(国土交通省資料をもとに作成。地図画像 ©OpenStreetMap.org contributors)

京都駅から南のルートとして図示されたラインは、阪神高速道路京都線と第二京阪道路とほぼ重なっている。京都市南区と伏見区、そして大阪府門真市を結ぶ計34kmの高速道路で、途中の京田辺パーキングエリアが新駅予定地の松井山手駅と近接している。用地買収を最小限に留めるという点で好都合だ。

松井山手駅のすぐ側で交差する第二京阪道路。国交省報告書のイメージ図で示されたルートは高速道とほぼ重なっていた(筆者撮影)

松井山手駅は地平(地上)駅と想定している。他の区間も工費の安くつく高架線での敷設を考えているようだ。ただ、第二京阪道路の建設がなされた十数年前、環境破壊を危惧した沿線住民から猛反発され、道路幅員を当初計画より狭くしたうえに緑地帯を増やした経緯もある。騒音や環境面を考えると、多くの区間は地下トンネルで整備せざるをえないと思うが、すでに電気やガスなどの共同溝が埋設されている。高架線にしても地下線にしても施工は簡単にいきそうもない。

大深度地下なら建設費は…

問題となりそうなのは、門真市―新大阪間だ。本年度から事業化される阪神高速道路淀川左岸線(門真市―大阪市北区)、あるいはJR東海のリニア中央新幹線とルートは重なりそうだが、一体化して整備するという話にはなっていない。新大阪駅ホームは地下駅として試算されたが、どこに設置するつもりなのだろう。

地下40m以下の大深度をトンネルで掘り進めるという選択肢もある。地権者の同意を得ずして地下を使用することができるが、建設費は割高だ。以前、国土交通省が東京都内の大深度地下鉄として検討した都心直結線だと1㎞当たりの建設費は360億円を超えていた。鉄道事業の先例がないし、さらに工費がかさむ可能性はある。

敦賀―京駅―新大阪間の建設費は2.1兆円。膨大な金額だが、その金額で収まるのか。ルートを決める前に時間をかけた丁寧な精査が必要だったのではなかろうか。

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