「異色すぎるNHK経済番組」は、こう生まれた 大反響!「欲望の資本主義」発想の原点
実際、異文化コミュニケーションと言ってもいいその考え方は、「英語でしゃべらナイト」に始まり、企業の入社試験をクイズにしてしまう「ソクラテスの人事」、芸能人に実際に仕事の現場に飛び込んでもらう「仕事ハッケン伝」、現在の「ニッポンのジレンマ」まで常に一貫しているとも言える。
「バブル」に生まれた同調圧力
「越境」する対話型の番組作りの原点は、実はバブル時代に学生生活を送った際の問題意識にある。
「バブル」といえば今の20~30代の方々には、日本経済の黄金時代、社会は明るい空気に満たされ、人々が消費を享受した輝かしい時代と、反射的に思う方も多いのではないだろうか? 実際、人々がディスコで踊る映像ばかりが紋切り型で喧伝されることなりがちだ。
確かに「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」とたたえられた国の空気が悪いわけはない。
だがその空気、すべての人々にとって歓迎すべきものだったかというと、疑わしいように思う。少なくとも地方から上京、目もくらむような高度な消費社会の中でわずかな仕送りで大学生活を送り、卒業までに何らかの生きていくための手掛かり、糧を得なければならないと思う僕のような人間の目には、そう「明るい」「お気楽」なものではなかった。
豊かさの中に生まれた「同調圧力」は人生の選択にも「圧力」をかける。会社は「終身雇用」「年功序列」「新卒一括採用」が常識、企業の一員となってこそ一人前……。1980年代初頭に大ヒットしたTBSドラマ「ふぞろいの林檎たち」では、序列化された社会の現実に直面する若者たちのやるせなさが描かれた。
その後も「24時間働けますか?」と問いかけるCMがバブル時代のひとつのアイコンとなったことはご記憶の方も多いだろう。経済の論理が圧倒的優位の中、現実を受け入れ、黙々と産業戦士となっていくかに見える同世代たち……。
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