「ほたるの夕べ」が60年以上続いているワケ

椿山荘で楽しめる幻想的な光景

ホテル椿山荘東京の「ほたるの夕べ」は7月2日まで開催(写真提供:藤田観光)

ホテル椿山荘東京が毎年行っている「ほたるの夕べ」が今年もスタートした。期間は5月19日から7月2日の45日間だ。「ほたるの夕べ」は1954年に初めて行われて以来、60年以上にわたってほぼ毎年続けられている初夏ならではの催しだ。ホテルではこの時期に合わせ、季節限定のディナービュッフェやレストランメニュー、宿泊プランなどが提供される。利用客は、同ホテルの目玉である広大な日本庭園を夜間に散策し、蛍(ほたる)が飛ぶ幻想的な光景を楽しむことができる。

なお、同ホテルの経営を担っているのは藤田観光である。同社は「ワシントンホテル」や、「箱根小涌園ユネッサン」などのホテルやリゾート事業のほか、婚礼・宴会施設、ゴルフ場など幅広い事業を行う会社だ。

しかしなぜ、東京の文京区という都会の中心にあるホテルで、蛍をめでることが可能なのだろうか。

演出で庭園に蛍を放ったことが始まり

ホテル椿山荘東京を経営する藤田観光・総支配人の本村哲氏(写真提供:藤田観光)

同社によると、そもそもホテルの立地は、南北朝時代から椿が自生する景勝地「つばきやま」として知られており、江戸時代は上総久留里藩黒田氏の下屋敷、明治維新後は元勲・山縣有朋の所有となった。その後、庭園をそのままに保存するべく、藤田財閥に委譲されるも、戦火によりほとんどが焼失してしまう。

「藤田観光の創業者小川栄一が、“荒廃した東京に緑を取り戻そう”と、跡地に植林を始めました。そして復元させた庭園でレストランや披露宴会場を備えた施設を開業したのです。ある関係者を招いたパーティで、演出として寄贈された1万0500匹余りの蛍を庭園に放ったことがありました。それがヒントになり、1954年から“ほたる観賞の夕べ”が開催されるようになったのです」(本村哲・総支配人)

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