男子負かした「女子サッカーチーム」の凄み サッカー王国スペインで話題
「少女たちのためには、少年たちと対戦すべきだと思っていた。真の成長には強力な対戦相手が必要だからだ」と、AEMのホセ・マリア・サルメロン総監督は言う。
スペインのサッカー協会の規定では、14歳までのジュニアリーグの試合では、クラブチームは男女混合も含めて性別に関係なく選手を起用することができる。
少年の母親たちから「やじ」
しかし当時は、AEMの決断に誰もが賛成したわけではなかった。
「(少年リーグに)登録したとき、数人の保護者からどうかしていると言われた」と、AEMのセルジオ・ゴンザレス会長は言う。「大失敗すれば、われわれは少女たちに屈辱を与えた責任を問われただろう」
少年リーグへの移行は簡単ではなかった。1年目、チームは全18チームのリーグで12位に終わった。チームの力がつき、より日常的に少年チーム相手に勝利するようになると、不愉快な反応に見舞われた。
「問題を起こしているのは少年たちよりも彼らの母親たちだ」と、試合中にチームに浴びせられる発言についてサルメロンは語った。「おかしなことだが、男っぽい発言や悪態のほとんどは対戦相手の少年の母親たちからだ」。
少女たちが少年リーグでプレーすることに戸惑っているのは対戦相手だけではない。AEMのダニエル・ロドリゴ監督によると、最近の試合でもキックオフの前に審判から試合会場を間違っているのではないかと言われたという。
別の試合では、審判が試合中にチームの選手たちを「プリンセス」と呼び続け、選手たちを当惑させた。
男女の待遇の大きな差
AEMのホームゲーム最終戦で、ゴメスは今シーズン最大のライバルだった少年チーム、ラ・ノゲラから勝利を収めた立役者となった。このチームにはさまざまな年代の選手113人が所属しているが、女の子は7歳の選手ただ1人だけだ。
「われわれのチームには少女がプレーしてきた伝統がない」と、ラ・ノゲラのテクニカルディレクター、ペレ・クラリソは言う。彼はAEMの強さの1つとして、卓越した規律を挙げた。
「戦術の面で、少女たちは監督の言葉すべてに耳を傾けている」と彼は言う。「彼女たちは言われたとおりにしようと真剣に努力する」