男子負かした「女子サッカーチーム」の凄み サッカー王国スペインで話題
試合後、スタジアムに「We Are the Champions」の曲が鳴り響く中、AEMの少女たちはロドリゴ監督を胴上げし、トロフィーを掲げてタイトル獲得を祝った。ラ・ノゲラの選手たちは落胆した様子だったが、すぐにAEMをたたえた。
選手の1人、オリオール・マルシャルは「女の子に負けるのはつらい」と言った。「でも、彼女たちは本当に強い」。
AEMの幹部によると、シーズン優勝を弾みに、育成プログラムの資金として約1万ドルをクラウドファンディングで集めようと計画しているという。スペインのサッカー協会が提供する少女の草サッカーへの助成金はわずかで、またクラブもスポンサー企業を獲得することができていないため、追加の資金が必要だと幹部らは語った。
「割り当てられる資金の大きな差を考えれば、女子選手は目覚ましい成長を見せている」と、ゴンザレスは言う。だが不平等な待遇は根強い。ユースサッカーでは「少年たちの移動にのみ所有する車両を出し、少女たちは自力で移動しなければいけないクラブもある」とゴンザレスは明かした。
女子サッカーが評価される場所
AEMの内部では、少女たちが少年チームにも勝ることを証明してみせると、当初の反対も徐々に消えていった。アナ・マリア・ビエラは、娘のクリスティーナが幼かったとき、特に少年チーム相手の試合に出場させることを許すのに乗り気ではなかったと明かした。
「娘が男の子たちにケガをさせられるのではないかと心配で、できるだけ先延ばしにした」とビエラは言う。「娘は、自分も男の子たちをケガさせることもあると言い続けた」。
チームのキャプテンで得点王のゴメスは、チームがスペインで女子サッカーのイメージ向上に貢献できたことを誇りに思う、と語った。それでも、彼女の目標はいずれ米国でプレーをすることだ。
「女子サッカーがとても高く評価されている場所でプレーしたい」とゴメスは言う。「理想の場所は米国にある。残念だけど、ここじゃない」。
(c) 2017 The New York Times News Services
(執筆:Raphael Minder記者、翻訳:中丸碧)
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