ドイツ、サイバー攻撃・偽ニュースに戦々恐々 9月の連邦議会選挙を控えて懸念広がる
しかし、米国とドイツの政府高官は、その関連性は明確だと反論する。BfVのマーセン長官は今月、ロシアがサイバー攻撃や影響工作を周到に準備し、ドイツ社会を不安定化させようとしていると指摘した。ドイツは防衛を強化しているが、どうしても対応しきれない部分があると述べた。
長官は、徒労を象徴するギリシャ神話を引き合いに出し、「山頂まで巨大な岩を押し上げては、(岩が転がり落ちるという)避けられない運命に見舞われるシーシュポスの岩のようだ」と述べた。
2日にロシアで行われたメルケル首脳との会談で、プーチン大統領は、米大統領選に関連してロシアがサイバー攻撃を行ったとする指摘は、うわさだと一蹴した。
だが、欧米の政府高官は、ロシア政府が西側民主主義への信頼を脅かし、欧州の結束を揺るがそうとしていると非難する。
「プーチン大統領の短期的な目標は、ロシア制裁を巡る欧州の合意を弱めることだ」と、メルケル連立政権で法律アドバイザーを務めるハンス・ペーター・ウール氏は指摘する。
「長期的な目標は、欧州連合(EU)を分断し、西側との戦いでのロシア的価値の勝利を確実にすることだ」と、同氏は機関誌に寄稿で述べた。
ロシア政府はこうした指摘に対し、「厚顔なうそだ」と反論している。
数多くの弱点が放置されたまま
2015年のサイバー攻撃後、ドイツ議会は、ドイツ・テレコムにソフトウェアの再構築を依頼し、事務職員3000人にセキュリティー訓練を受講させるなどして対策を強化したと、連邦議会のエルンスト・へベカー報道官は話す。
しかし関係者によると、ドイツの民間セキュリティー会社セキュネットは2月、議員に対する独自の機密報告書で、中央監視されていない携帯電話やタブレットを議員が「管理されていない状態で使用」していることなど、数多くの弱点が残っていると指摘した。
報告書は、マルウェアに汚染されている可能性があるUSBスティックが禁止されていないとも指摘したという。