中国、「一帯一路」に1240億ドル拠出 平和と自由貿易の推進を宣言

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 5月14日、中国が進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議が、2日間の日程で北京で開幕し、習近平国家主席(写真)は、平和や自由貿易の推進に向けて同構想に関連し1240億ドルを投じると表明した。写真は14日北京で撮影(2017年 ロイター/Wu Hong)

[北京 15日 ロイター] - 中国が進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議が14日、2日間の日程で北京で開幕し、習近平国家主席は、平和や自由貿易の推進に向けて同構想に関連し1240億ドルを投じると表明した。

会議には29カ国の首脳のほか、国連や国際通貨基金(IMF)、世界銀行など国際機関のトップが出席した。

習主席は開幕に当たり「開かれた協力の基盤を構築し、開かれた世界経済を維持・拡大する必要がある」と訴えるとともに、開かれた開発を促進し、「公正かつ合理的で透明性の高い世界貿易および投資」の枠組み作りを促すような環境を作り出さなければならないと述べた。

主席はシルクロード基金の1000億元(145億ドル)増額や政策銀行による3800億元の融資、新経済圏周辺の途上国などに対する600億元規模の支援を表明した。

また、金融機関に対し海外の人民元建て基金ビジネスを3000億元規模に拡大するよう促す考えを示した。

新たな資金拠出や融資、支援の実施時期には言及しなかった。

中国の鍾山商務相は、構想参加国から5年間で2兆ドル相当の商品を輸入する計画だと明らかにした。

会議に出席したハモンド英財務相は、一帯一路構想において英国は「自然なパートナー」だと述べた。

また、米国家安全保障会議(NSC)のポッティンジャー・アジア上級部長は、構想の一環としてインフラ整備を進める中国の計画を歓迎し、米企業が価値の高いサービスを提供できるとの見方を示した。

ただ、一部の国からは、今回の会議や構想全体について、中国が世界で影響力を強めようとしているとして不安視する声も聞かれた。構想の透明性や外国企業によるアクセスについても懸念が出ている。

オーストラリアのチオボー貿易・投資相は、一帯一路構想によって生まれる商業機会を模索することには前向きだが、いかなる決定も国益を踏まえて行うとの考えを示した。

習主席は「中国は開発機会を全ての国と共有する方針だ」とし、「他国の内政には干渉しない。中国の社会制度や開発モデルの適用を求めたり、われわれの考えを他国に押し付けたりすることはない」と強調。「一帯一路構想を進める上で、国家間の駆け引きという過去の道を再びたどることはない。協力と相互利益という新しいモデルを作り出す」と表明した。

また、一帯一路はアフリカや米州などシルクロード沿いに位置しない国に対しても開かれているとした。

こうした協力はプロジェクト資金の拠出や投資の面でも求めて行く方針で、中国人民銀行の周小川総裁は「参加国は資金協力の強化に向け共に取り組む必要がある」と指摘。政府の財源には限りがあることから、プロジェクトを維持するためには参加各国が企業に重要な役割を担わせることが重要だと述べた。

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